会見リポート
2018年12月21日
16:30 〜 17:30
10階ホール
トゥルヒージョ・コロンビア外相 会見
会見メモ
今年8月に新政権が発足したコロンビアのカルロス・ホルメス・トゥルヒージョ外相が会見した。
司会 杉田弘毅 日本記者クラブ企画委員(共同通信)
通訳 大野理恵
会見リポート
早期のEPA締結に意欲
庭田 学 (毎日新聞社外信部編集委員)
コロンビアのサントス前大統領は、左翼ゲリラ・コロンビア革命軍(FARC)との和平が評価されて2016年にノーベル平和賞を受賞した。その和平合意の見直しを主張して18年6月の大統領選に勝利したドゥケ新政権で、外相に任命された。
日本企業にとってコロンビアは今後、有望な投資先になると言われている。訪日の狙いは両国の経済関係強化だった。租税条約に署名し、早期の経済連携協定(EPA)締結にも意欲を示した。会見でも「よりビジネス・フレンドリーな環境を整えていく」と強調した。
コロンビアの治安はかなり改善している。だが日本人は「危ない」というイメージを抱き続けている。FARCとの和平合意の変更方針について外相は「麻薬取引は政治犯罪とみなさない」など、主なポイントを丁寧に説明し、「憲法に則り、国民の合意に基づいて進めていく」と述べた。もう一つの左翼ゲリラ・民族解放軍(ELN)との和平交渉については「もしELNが我々の条件を受け入れるなら、交渉を再開する」と説明。外相は「もし」と繰り返し、難しい状況であることを伺わせた。麻薬問題では「多国間主義で対処していく」などとし、国際的な連携が必要との認識を示した。その上で「我が国に進出する外国企業関係者の法的・身体的な安全を保障する」などとする政権の基本姿勢を説明した。
大学院で刑法や犯罪学を学んだ弁護士で、上智大学で国際ビジネスの修士号を取得。1976~82年に東京のコロンビア大使館に勤務した。88~90年にはコロンビア第3の都市カリの市長を務めた。教育相や内相のほか、国連や欧州諸国などで大使を歴任。14年の大統領選出馬を目指した末、副大統領候補となったが、決選投票で惜敗した。理路整然とした理解しやすい話し方は、コラムニストであり、大学の教壇にも立ってきた経験からかもしれない。
訪日中、上智大で記念講演した。「母校を訪問し本当にうれしかった」と語った。貴重な知日派の政治家である。
ゲスト / Guest
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カルロス・ホルメス・トゥルヒージョ / Carlos Holmes Trujillo
外相 / Minister of Foreign Affairs