2025年05月15日 12:00 〜 13:00 9階会見場
村井嘉浩・全国知事会会長 会見

会見メモ

全国知事会の村井嘉浩会長(宮城県知事)が、全国知事会で現在進めている取り組みや、政府と連携して地方創生を図っていく上で優先的に対応していくべき課題などについて話した。村井氏は2023年9月に全国知事会会長に就任した。今年9月に任期を終える。

 

司会   小林伸年  日本記者クラブ企画委員  (時事通信社)


会見リポート

「結果を残す」は道半ば

中野 弘之 (信濃毎日新聞東京支社報道部長)

 結果を残す知事会―。宮城県知事の村井嘉浩氏は、全国知事会長に就いた2023年9月、こう表明していた。

 会見では、その具体的な取り組みとして能登半島地震への対応を挙げた。大規模災害が起きたとき、混乱する被災地はどんな支援を求めているか、どれだけの物的・人的支援が要るか。これを国が取りまとめて知事会などに要請し、自治体が対応する。東日本大震災の経験を踏まえ、国と地方の役割を明確にした。

 国民スポーツ大会のあり方を巡り、過大な費用負担に耐えかねた知事たちが見直しを迫ったのも「結果」の一つだろう。村井氏は「廃止も視野に検討すべきだ」と発言して世論の関心をひき、柔軟な開催時期・期間の設定、自治体の負担軽減、運営の簡素化といった提言に結び付けた。

 地方にとって最大の課題は人口減少にほかならない。地方創生が始まって10年余りになるが、人口の東京圏一極集中は解消せず、出生数の減少にも歯止めがかからない。老朽インフラの維持管理という難題を抱えつつ、行政ニーズの多様化に対応する自治体は、財源や職員の不足に頭を悩ませている。

 村井氏が「どんどん進めるべきだ」と言う地方分権改革は、省庁の抵抗もあって停滞気味だ。地方制度の議論が交わされるたび、国は合併まがいに権限と財源を中核都市に集約する構想を打ち出してきた。地方に対する国の指示権も拡充されている。

 地方制度について、村井氏は「道州制が一番よい。行政のスリム化のためには、リーダーは少ない方がいい」と述べた。ただ、「知事会では議論になっていない。国にやる気がないのに、我々だけが騒ぐべきでない」とも。このあたりは物足りなさが残る。

 地方制度のありようは、暮らしの現場を知る自治体側が積極的に構想し、国を動かしてほしい。道州制の是非はともかく、他の地方団体とも連携し人口戦略を煮詰めていくことが、村井氏の目指す「国民的議論の喚起」につながるだろう。

 それぞれの県益だけに固執せず「結果を残す」役割を、知事たちに求めたい。


ゲスト / Guest

  • 村井嘉浩 / Yoshihiro MURAI

    全国知事会会長 / Chairman of National Governors' Association

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