会見リポート
2018年12月26日
14:00 〜 15:00
10階ホール
渡辺守成・国際オリンピック委員会委員 会見
会見メモ
今年10月に国際オリンピック委員会(IOC)委員に就任した渡辺守成氏が、今後のスポーツ界のあり方や、自身が会長を務める国際体操連盟(FIG)の取り組み等について話した。
司会 森田景史 日本記者クラブ企画委員(産経新聞)
会見リポート
スポーツ界に社会の常識を反映させよ
佐野 慎輔 (産経新聞特別記者)
行動の人である。23年ぶりの日本人国際連盟(IF)会長就任が話題になって2年、動きは際立つ。
「(就任1年目の)前半は前の会長が決めた問題を解決する。後期は過去の問題について分析…2年目の評議員会で新サイクルを提案し、この12月の総会で内容を決議」
真の〝渡辺色〟を打ち出すのは1期4年の任期の残り半分、来年からだという。しかし、すでにその意思が実行された例は少なくない。
レジェンドの著名選手を世界選手権アンバサダーに起用し、会議の発展途上国開催によって普及をはかる。女性役員の積極的な登用と、分かりづらい採点に人工知能(AI)の試験導入など、国際体操界に「イノベーティブ(革新的)な活動がうまれやすい土壌」ができはじめた。
米国体操界で元チームドクターによる女性選手らへの性的暴行が発覚した。ハラスメント対策のため、主導して設立したのが選手の通報窓口となる「倫理財団」。国際体操連盟(FIG)から独立させた。「スポーツ界の常識を、社会の常識に合わせていく必要」を感じたからだ。
不祥事が続く日本のスポーツ界についても、競技団体の役員を民間から多く登用せよと提案する。「OBだけで固めていては社会の常識が理事会や評議員会に反映されない」
渡辺氏自身も体操選手だった。一方で企業人、それも小売業(イオングループ)の現役サラリーマンであることが「社会常識」を背景にした素早い行動に現れている。
今年10月、国際オリンピック委員会(IOC)委員に就任した。IF枠からの選任だが、2020年大会を控えて日本人14人目のIOC委員への期待は大きい。「言うべきことは言っていく」。1月の〝新委員研修〟後の言動が楽しみだ。
「FIGの改革がロールモデル(規範)となって、世界のスポーツ界の発展につなげていければ」と話す。ぜひ、そうあってほしい。
ゲスト / Guest
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渡辺守成 / Morinari Watanabe
日本 / Japan
国際オリンピック委員会委員 / member, International Olympic Committee