2017年03月06日 14:00 〜 15:00 10階ホール
エスベン・ルンデ・ラーセン デンマーク環境・食糧相 会見

会見メモ

“循環経済”の効用を説く。資源を有効活用し、環境への負担を減らすのを理念とする。食品廃棄物を例にとり、2010年から5年間で25%削減した、と成果を強調。足元の問題から国民の意識を高め、農林畜産業など主要産業へ応用していく戦略のようだ。

 

司会 石川洋 日本記者クラブ企画担当部長

通訳 西村好美(サイマル・インターナショナル)


会見リポート

循環経済の実現、日本に有効な示唆

デンマークは1人当たりGDPが日本を上回り、世界のベスト10の常連だ。そんな経済力の高い国が、再利用や再生産を徹底して廃棄物を減らす「循環経済」を社会の隅々まで実現している。人口減の中で効率の良い社会を作らなければならない日本にとり、ラーセン大臣の話はとても有益な内容だった。

 

デンマークでは排出されるゴミのうち、埋め立てに回るのは最大7%。家庭ゴミだとわずか2%だという。

 

注目されるのは、循環経済を通じて新たなビジネスや雇用を生み出し、経済成長につなげている点だ。

 

例えば、チーズを生産する際に出る副産物のホエーは、かつては子牛のエサに回していたが、商品化に成功し、今や大きな輸出産業になっている。工場の排水処理の際にもエネルギーを生産する。ある工場では、使用量の1.5倍のエネルギーを作り出しているという。

 

われわれがすぐに実行できそうな取り組みも紹介してくれた。

 

デンマークのスーパーは、消費期限が明日の商品は、今日のうちに値下げして売り切るようにしているという。売れ残った商品は慈善団体などに寄付する。

 

関係団体や官僚の抵抗にあいそうな制度改正を実現するシステムも独特だ。

 

食品廃棄物の削減を進めた際、NGOの女性が、障害になっている規制を大臣に直接説明した。ラーセン大臣はその提案を踏まえ、改革に反対する官僚に対して「非常に礼儀正しく」説得し、法制度を改正したという。メディアなどの公の場で消費者が高い意識を持って議論することも大切だと教えてくれた。

 

ラーセン大臣の話は、循環経済にとどまらず、既得権者の抵抗が根強くなかなか進まない日本政府の規制改革のアプローチにも、有効な示唆を与えてくれた。


読売新聞東京本社編集委員 山崎 貴史

ゲスト / Guest

  • エスベン・ルンデ・ラーセン / Esben Lunde Larsen

    デンマーク / Denmark

    環境食料相 / Minister for Environment and Food

前へ 2017年08月 次へ
30
31
2
5
6
9
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
23
24
26
27
28
1
2
ページのTOPへ