会見リポート
2007年04月23日
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船橋洋一・朝日新聞コラムニスト「著者と語る『ザ・ペニンシュラ・クエスチョン』」
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会見詳録
会見リポート
北朝鮮─外交クエスチョンに迫る
安尾 芳典 (共同通信論説委員)
2002年9月の小泉純一郎首相の訪朝、それに続く第2次朝鮮半島の核危機をめぐり日本、米国、中国、ロシア、韓国、そして北朝鮮が展開する外交に数多くの「クエスチョン」を抱き、その真相に迫った。小泉首相をはじめ日米中韓など多数の当事者とのインタビューを織り交ぜて多角的に再現していく。著書の巻末には約160人に上るインタビューリストが掲載されている。
執筆のきっかけは小泉訪朝だったという。「これほど鮮やかな自主的独自外交は戦後では異例」と評価する。だが小泉首相はそれまで北朝鮮に関心をほとんど示していなかった。「そんな人がなぜ動いたのか。日朝国交正常化を米国は許すのか。調べれば調べるほど疑問だらけだった」。「正常化で北朝鮮の体制安定を図り、南北統一を阻もうとしたのではないか」との見方を示す。
第2次核危機をもたらした北朝鮮のウラン濃縮開発問題では「なぜ北朝鮮が開発を進めたのか。ブッシュ政権内のネオコン派があおったのか」。結論として北朝鮮が秘密裏にウラン濃縮開発を計画したのは間違いないが、米国は計画を過大評価したとみる。
ウラン濃縮開発の理由は分からないとしながらも、米政府による北朝鮮崩壊の意図や北朝鮮の食糧難による体制危機などのシナリオをあげる。だが北朝鮮が核開発に踏み切ったのは冷戦崩壊前の1963年だったことを指摘し 「まだまだ闇の中にある」。
日本外交については、拉致問題をめぐる視点での中韓など近隣諸国との大きなギャップが生まれ、米国側にも安倍政権を見極めようという雰囲気があり「このままでは日本は孤立する」と懸念を示した。
ゲスト / Guest
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船橋洋一 / Yoichi Funabashi
朝日新聞コラムニスト / Columnist, The Asahi Shimbun
研究テーマ:著者と語る『ザ・ペニンシュラ・クエスチョン』