ベテランジャーナリストによるエッセー、日本記者クラブ主催の取材団報告などを掲載しています。


第3回アジア経済視察団(2002年11月) の記事一覧に戻る

「物価」から見えたこと(副団長 朝日新聞 小倉一彦)2002年11月

マハティール首相が風邪で会えない、という情報が入ったのはシンガポールで移動中のバスの中だった。「視察の目玉がなくなっちゃうなあ」。1行の中からはぼやきも漏れた。「ルック・イースト」政策以降、日本に多大な関心を寄せてきた同首相は、日本のマスコミにとってなじみ深い人物だ。我々の期待も大きかった。

 

その思いは首相も受け止めてくれたようで、結局、ドタキャンの取り消し。少々元気はなかったが会談に応じてくれた。病気が幸いして(こんな言い方は不謹慎であるが)、首相府ではなく、建設中の新都市が一望できる新官邸での会談というおまけ付きだった。

 

そうした取材の成果と別に、私にとって印象深いのはマレーシアの「物価」だった。日本との比較でみると、電気製品はシンガポールが日本より結構高く、マレーシアは日本並みか、やや高いくらい。アジアの物価は日本より安いと思いこんでいたが、けっこう衝撃的だった。高いといわれた日本の物価は、国際的にそれほど高くはなくなっているのだ。

 

ただ、食品的にマレーシアが安い。特に鶏肉と果物は圧倒的に安かった。外食でも、地元のフードコートならば、日本円で150~200円も出せばおいしいものを食べられた。

 

体験しなければわからないことばかり。久しぶりに訪れたアジアに、改めてそう感じた。

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