会見リポート
2025年06月05日
15:30 〜 17:00
10階ホール
「生成AI」(6) 関根聡・国立情報学研究所特任教授
会見メモ
自然言語処理の専門家で国立情報学研究所大規模言語モデル研究開発センターの特任教授を務める関根聡さんが、日本語の大規模言語モデル(LLM)の安全性確立に向けた取り組みや、インストラクションデータの構築とその効果について話した。
司会 倉澤治雄 日本記者クラブ会員
会見リポート
ChatGPTの衝撃と日本が目指すべき「勝ち筋」
小林 哲 (朝日新聞社くらし科学医療部長)
2022年11 月のChatGPT登場は、日本の研究者たちに「もうやることがなくなった」と思わせるような衝撃を与えた。OpenAIに集まる開発人材は、1社だけで日本全体の総数を凌ぐほどだという。資金力や計算資源で米大手との差が広がる中、日本は独自の文化や社会背景に根ざした和製LLM(大規模言語モデル)の開発に活路を見いだそうとしている。
関根さんたちは、ハルシネーション(誤情報の生成)や有害情報の提示といった現行のLLMが抱える課題に対し、安全性と透明性を備えた安心して使えるモデルを実現しようと研究を続けてきた。海外製モデルでは捉えきれない日本語の機微や文化的ニュアンスを正確に理解し、より自然で適切な応答を可能にする学習データを整備することで和製モデルの基盤作りに貢献してきた。
興味深いことに、最近の研究から、お手本となる質問と回答をセットで学習させることによってLLMの「個性」をコントロールできることが分かってきた。教え込むデータによって性格や得意分野が変わるという事実は、特定の産業分野などで日本の強みを生かした特化型の開発につながる勝ち筋の一つになるという。
日本には自然言語処理の基礎研究や、緻密なデータ作成において長年の蓄積がある。中国の台頭などで失われつつある競争力を維持していくには、信頼性の高いAIの社会実装を見据えて産学連携、人材育成を強化していく必要がある。国際的な協力と交流を通じて、グローバルな視点から安全性や倫理問題に対応していくことも求められると指摘した。
◇
せっかくなので、生成AIをフル活用してまとめてみました。約1時間半に及んだ専門的な内容を瞬時に要約。しかも、その精度は日々向上しています。研究者と同様に記者の仕事も岐路に立たされています。
ゲスト / Guest
-
関根聡
国立情報学研究所特任教授
研究テーマ:生成AI
研究会回数:6