会見リポート
2025年06月11日
14:00 〜 15:00
10階ホール
國松孝次・一般財団法人未来を創る財団 会長 会見
会見メモ
一般財団法人未来を創る財団(会長=國松孝次・元警察庁長官)は今年3月、外国人材の受け入れに関する緊急提言を発表した。人口減少、地域衰退局面にある日本では、外国人材を地域や日本経済の「担い手」と位置づけ、地方自治体が主導して受け入れることが必要だとし、「定住外国人基本法(仮称)」の制定を求めている。
國松会長と、藤原豊副会長および、同アドバイザリーボードメンバーで日本の移民政策や多文化共生などが専門の毛受敏浩(めんじゅ・としひろ)さんに、提言の背景や外国人材を日本経済の成長につなげていく方法などについて話した。
司会 小林伸年 日本記者クラブ企画委員 (時事通信社)
会見リポート
定住外国人急増で「基本法」制定が急務
原田 健男 (山陽放送出身)
日本国内には在留外国人が現在377万人おり、人口の3%を占めている。その数は推計の2倍の年間約35万人ずつ増え続けており、このままいけば45年後の2070年には、人口8700万人のうちの約11%、939万人に増えると予想されている。日本には現在、この外国人をどう受け入れてゆくのかを見通す基本戦略がなく、それを受け止める「定住外国人基本法(仮称)」の制定が急務であると一般財団法人「未来を創る財団」の國松孝次会長らが訴えている。國松氏は元警察庁長官でスイス大使も務めたが、赴任先のスイスは外国人受け入れのための法律を作って対処しており、ドイツや韓国などもそうした対策をとっているのを知ったそうである。
國松氏は会見で「定住外国人増加の背景には、日本の人口減少・人手不足の問題がある。受け入れは生産性向上のため避けて通れない問題だが、そのために外国人材をどう活用するのか議論する必要がある。移民と聞いたとたんに拒絶反応を示す人がいるが、その移民を必要として日本社会が動いていることを忘れてはならない」と語った。
未来を創る財団によれば、在留外国人は現在84万人の中国人を筆頭にベトナム人・韓国人の順に多く、ネパール人も高い増加率で増えており、これら外国人材には一時的な滞在者でなく定住して活躍してもらうという考え方が必要だという。そのためには彼らに言語や生活知識を身に付けるためのオリエンテーションをし、子供達には教育と将来の就職も考えた施策も求められるそうだ。財団は今年3月、外国人材の受け入れに関する緊急提言を発表し、外国人材を地域や日本経済の担い手と位置づけ、「定住外国人基本法(仮称)」の制定を求めている。国に対しては「定住外国人政策委員会(仮称)」を立ち上げ、地方自治体にあっては受け入れの「地域戦略(計画)」を策定して定住外国人のオリエンテーションやサポートを担う役割を期待しているそうだ。
ゲスト / Guest
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國松孝次
一般財団法人未来を創る財団 会長
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藤原豊
一般財団法人未来を創る財団 副会長
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毛受敏浩
一般財団法人未来を創る財団アドバイザリーボードメンバー/関西外国語大学 客員教授