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会員が出版した書籍を、著者自身によるワンポイント紹介とともに掲載しています。
■日本経済入門
藤井 彰夫(日本経済新聞社論説委員兼編集委員)
▼経済ニュースの参考書に バブルの絶頂と崩壊、その後始末の不良債権処理がやっと終わったと思ったら、リーマン・ショックと東日本大震災という二つの新たな危機にさらされた日本経済。
平成時代がもうすぐ終わり、バブルどころかその崩壊後の騒ぎも歴史としてしか知らない世代が社会人になり始めました。本書では、平成の30年を振り返るとともに、ポスト平成の日本経済が抱える課題を、分かかりやすく解説することを試みました。とっつきにくい新聞の経済ニュースを読む際のガイドブックになれば幸いです。
日経文庫 / 929円 / ISBN 4532113857
■インドの代理母たち
ギーター・アラヴァムダン著
鳥居 千代香 訳(特別賛助会員)
▼代理母からインドや世界を知る 不妊に悩む夫婦や同性愛者の依頼で受精卵を代理母の子宮に移植し妊娠、出産させる代理母出産。卵子売買が盛んなインドだが、代理母の卵子使用は絶対にないという。「生殖ツーリズム」の目的地のトップ、インドに世界中から商業的代理母を求めて人々が殺到。合法化から数年で大金を稼ぎ出すビジネスに成長した。インドの代理母に日本人も深く関係している。同書では、アメリカの事例なども含め代理母出産の実情をリポートしている。
柘植書房新社 / 2484円 / ISBN 4806807087
■日本の発言力と対外発信 「静かなる有事」を超えて
原野 城治(時事通信社出身)
▼脆弱な国際広報体制 英語中心の日本の対外発信は、大国・米国の地盤沈下で見直しを迫られている。だが、日本政府には国連公用語6カ国語による「多言語発信」基盤さえ常設されていない。翻訳大国と言われた受信能力も急速に低下している。いつまで脆弱な受発信体制を放置し続けるか。自国のビジョンを明確に伝える「発言力」を再活性化させるために、危機感の希薄な「静かなる有事」の時代における対外発信の現状にメスを入れた。
ホルス出版 / 1512円 / ISBN 4905516099
■津和野人 岸田蒔夫―その転変の生涯
羽原 清雅(朝日新聞社出身)
▼時代に翻弄の姿を追う 以前、小生の母方の出た「『津和野』を生きる」を書き、興味が湧いたひとり。明治7年~昭和31年の生涯は、時流に乗ったか乗せられたか。島根師範学校卒業後、郷里で教師、校長。中国語を生かして日本語習得本を書き、軍人養成の振武学校の教師に。大正期は同文館で編集や著作を、昭和に入り松江の山陰新聞(現山陰中央新報)主筆、さらに津和野町長に。事変後の満洲国にわたり、モンゴル人向けの教科書を作る。帰国間もなく終戦。彼を追うこと10年を楽しんだ。
オルタ出版室 / 1620円 / ISBN 4787491164
■習近平帝国の暗号 2035
中澤 克二(日本経済新聞社編集委員兼論説委員)
▼毛沢東越え狙う習近平新時代の裏舞台 軍首脳の自殺、後継者は早々に失脚……。共産党大会の激しい前哨戦から、終身の国家主席まで可能にした「習一強」に至る舞台裏を描く中国政治ノンフィクション。習近平新時代を読み解くカギは自身が口にした「2035」という謎めいた数字に隠されている。超長期の工程表ににじむのは、米国を経済的に追い抜くまで最高指導者にとどまるという野望である。核実験を繰り返す金正恩との確執の裏側にも迫っている。
日本経済新聞出版社 / 1944円 / ISBN 4532357683
■いま何が問われているか 水俣病の歴史と現在
高峰 武(熊本日日新聞社論説顧問)
▼水俣病の「今」に向き合う 公式確認から今年5月1日、62年を迎えた水俣病事件だが、今も未解明なことが多い。なぜ未解明なのか。ここに事件の本質がある。「負の遺産」を私たちが「未来に生かす」ためには、事件史と正面から向き合うことが必要だ。本書は高峰を含む11人の著者がそれぞれの立場から、水俣病事件という巨大なミラーボールを解説する。発効したばかりの水俣条約の問題点をはじめ、「福島と水俣の共通性」(第6章)では、曖昧にされる被害補償の責任を指摘している。
くんぷる / 1944円 / ISBN 4875511744
■母の家がごみ屋敷 高齢者セルフネグレクト問題
工藤 哲(毎日新聞社元特別報道グループ)
▼埋もれた深刻な現実 近親者の死による生活意欲の衰えや老化による体力低下、認知症などで身の回りのことができなくなるセルフネグレクト(自己放任)に陥る高齢者の実情を取材した。セルフネグレクトは当事者が相当数存在しているとみられるが、国や行政の実態把握は不十分だ。捨てることが難しくなり、自宅にものやごみが積み上げられることも少なくない。こうした現場や背景を探った。予想以上の数のメールが寄せられ、埋もれた現実の深刻さを感じずにはいられなかった。
毎日新聞出版 / 1512円 / ISBN 4620324671
■科学のミカタ
元村 有希子(毎日新聞科学環境部長)
▼「枕草子」で科学を分かりやすく 人工知能やゲノム編集、火星移住構想など、われわれの想像を超える科学・技術の成果が次々と登場している。「難しくて」「文系だから」などと敬遠されがちな最先端のトピックを、「もしも清少納言が『枕草子』で取り上げたら?」と仮定してエッセーに書き下ろした。「こころときめきするもの」「すさまじきもの」など、章立ても一工夫。世界を大きく変える可能性をはらんで進歩する科学の現状を分かりやすく解説し、「どう付き合うか」まで踏み込んだ。
毎日新聞出版 / 1620円 / ISBN 4620325023
■メルケルと右傾化するドイツ
三好 範英(読売新聞編集委員)
▼「理想主義」の陥穽 西独ハンブルクでの出生から、昨年9月の総選挙までのメルケル独首相の足跡を、編年体で書いた伝記。特に、東独という体制、時代と、彼女の政治家としての個性との相関関係に意を払った。その中で培われた「理想主義」が、難民流入など、今のドイツ、欧州の混乱の一つの原因となっているという仮説を提起した。メルケルはあと4年間、首相を担うだろうが、求心力低下は否めない。ドイツ政治の行方を占う上で、ヒントを提供できれば幸いです。
光文社新書 / 907円 / ISBN 4334043364
■地図から消される街 3・11後の「言ってはいけない真実」
青木 美希(朝日新聞社会部)
▼帰還率4・3%の現実を描く 政府は2017年春に福島第一原発周辺自治体で避難指示を解除したが、住民は戻らない。住宅提供は段階的に打ち切られ、避難者が貧困に追い込まれ、自殺者も増えている。彼らの苦しみの元凶は何か。官僚や原子力村トップが、秘密会議の内容や裏にある思惑を明かしはじめた―。
新聞協会賞を受賞した「手抜き除染」を手がけ、原発事故を検証する長期連載「プロメテウスの罠」にも参加。7年間追い続けている現場のルポです。
講談社現代新書 / 994円 / ISBN 4062209969