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会員が出版した書籍を、著者自身によるワンポイント紹介とともに掲載しています。
■ジャーナリズムは歴史の第一稿である。
瀬川 至朗 編著(毎日新聞出身)
日報隠蔽、公文書問題、返還軍用地の土壌汚染、政務活動費不正、移民ネグレクト、精神障害者の社会的閉じ込め―。本書は、「石橋湛山記念 早稲田ジャーナリズム大賞」受賞者やファイナリストら12人が、特筆すべき調査・取材に基づき、社会の課題とその解決の糸口について語った講義録である。実に優れたジャーナリズム活動が日本各地で展開されていることに驚く。取材手法や企画のヒントが詰まっており、何より勇気付けられる1冊である。
成文堂 / 1944円 / ISBN 4792333822
■昭和キッズ物語
藤 あきら(内藤章・朝日新聞出身)
高度成長期の町の記憶 「直江津」という雪国の小さな港町に生まれた団塊の世代。長い転勤生活を経て帰郷し、どこの地方都市も直面している人口減と高齢化にさらされて衰弱する郷里を目の当たりにし、かつて人々であふれていた町の「記憶」の再生を、とつづった物語。少年の目で、四季をめぐりながら、近所のおじさんおばさんたちが「直江津弁」で語り合う。あの時代を生きた人々はすでに亡い。懐かしさとは何なのだろう。
鳥影社 / 1944円 / ISBN 4862657206
■沖縄報道─日本のジャーナリズムの現在
山田 健太(専修大学教授)
本土との分断生む構造に迫る 県知事選、再度の法廷闘争、土砂投入、そして県民投票と、いま沖縄は「辺野古」を巡り大きく動いている。そしてこの間、頑なな政府の姿勢を結果的に後押しするのが、地元メディアを偏向と批判し、抗議活動を非国民呼ばわりする沖縄ヘイトでもある。こうした構図がどのように出来上がってきたのか、それらに本土のメディアがどう関わってきたのか、これらを日本のジャーナリズムの構造と、戦後70年間の紙面分析から解き明かしたのが本書である。
ちくま新書 / 972円 / ISBN 4480071776
■魂の刻
砂原 和雄(産経新聞出身)
女性面打ち師との愛の物語 鬼が美女に化けたともいわれる能面・万媚を打つ美貌の面打ち師との再会をきっかけに、六本木の超高層ビルで働くプロの為替ディーラーが叔父の後を継いで零細企業の社長となり、「横浜シルク」の再興に懸ける物語。六本木、ニューヨーク・マンハッタンの金融の現場から、山下公園、元町、ホテルニューグランドなど二人の逢瀬の現場を克明に描き、艶やかで優美な能装束に仕立てました。
静人舎 / 1944円 / ISBN 4909299068
■武器としての情報公開 権力の「手の内」を見抜く
日下部 聡 毎日新聞社統合デジタル取材センター副部長
情報公開制度をはじめ、さまざまな公開情報から分かることは意外に多い。試行錯誤してきた取材・報道を基にまとめた。いい加減な情報が大量に飛び交う今、社会や地域のことを真面目に調べたいと思っているすべての人たちの参考に少しでもなれば。
ちくま新書 / 886円 / ISBN 4480071849
■戦後国際秩序の終わり 世界の中の日本
千野 境子(産経新聞出身)
▼私の戦後総決算 米国第一主義のトランプ大統領の登場で、戦後国際秩序が黄昏を迎えている。しかし新しい秩序構築には歴史の再検証が不可欠だ。湾岸戦争、米同時多発テロ、PKO派遣、ポル・ポト派、北朝鮮、日韓関係、沖縄本土復帰、原発と、筆者が取材し、日本も深く関わり、戦後を画した8大事件を選び、「あれは一体何だったのか」と振り返った。現場での取材経験も多く盛り込んだので私の記者総決算の感もあるが、こちらの方はまだ終わらないつもり。
連合出版 / 1728円 / ISBN 4897723035
■本音化するヨーロッパ 裏切られた統合の理想
三好 範英(読売新聞社編集委員)
▼多文化主義は人々を幸福にするか 欧州はユーロ危機、難民流入、テロの続発、Brexitと畳みかけるように危機が続いている。本書の中心テーマは難民危機。収容施設の現場担当者や、反難民政党活動家の実態や主張を、ありのままに伝えようと試みた。とかく難民の窮状に焦点が当たる類書には、ちょっとない視点かもしれない。折しも安倍政権が新たな外国人労働者受け入れ策を提示した。多文化社会を手放しで称揚する人が多いが、本当にそうなのか、と問うたつもりである。
幻冬舎新書 / 864円 / ISBN 4344985192
■自衛隊の闇組織 秘密情報部隊「別班」の正体
石井 暁(共同通信社編集局編集委員)
▼〝軍隊〟の恐ろしさを実感 「陸自の秘密情報部隊『別班』が、冷戦時代から首相や防衛相に知らせず、独断でロシア、中国、韓国、東欧などに拠点を設け、身分を偽装した自衛官に情報活動をさせている」と聞いて、取材に5年半もかかってしまった。記事が掲載されると、陸自将官は「電車は最前列で待つな」と一言。佐藤優氏は「痴漢にされる。酔って電車に乗るな」と忠告してくれた。それまでの記者生活では感じたことがない〝軍隊〟の恐ろしさが迫ってくるように思えた。
講談社現代新書 / 864円 / ISBN 4065135885
■米韓同盟消滅
鈴置 高史(日本経済新聞社出身)
▼同盟はもう要らない? 2018年6月の米朝首脳会談の本質は北朝鮮の非核化と、米韓同盟の廃棄の取引だった。2017年1月、この同盟に冷淡なトランプ大統領が登場。そのうえ同年5月、韓国に「同盟より民族の和解が大事」と考える文在寅政権が誕生した結果だ。朴槿恵政権時代から韓国は米中等距離外交に邁進した。中国・北朝鮮という共通の敵を失った米韓同盟の永続を期待する方がおかしいのだ。同盟消滅を予測した著者の近未来小説『朝鮮半島201Z年』のノンフィクション版でもある。
新潮新書 / 799円 / ISBN 4106107856
■Producing Hiroshima and Nagasaki Literature, Film, and Transnational Politics
柴田 優呼(朝日新聞出身)
▼北米の学界の原爆観を問う 世界的に有名な日仏合作映画『ヒロシマ・モナムール(邦題:24時間の情事)』。北米の人文研究では、この前衛映画こそがヒロシマを描く代表作。一方で、占領下GHQに没収された「幻の映画」や亀井文夫監督作など、その中で使われた日本のドキュメンタリーは単なる「素材」扱い。ドキュメンタリーは事実を提供するだけなのか。どの国が何語で、誰のために、ヒロシマのどんな知識を作り、拡散するのか。北米アカデミズムのあり方を問う。2015年の拙著『“ヒロシマ・ナガサキ”被爆神話を解体する』とは別内容。
62ドル
ハワイ大学出版 / 円 / ISBN 0824867777