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会員が出版した書籍を、著者自身によるワンポイント紹介とともに掲載しています。


■希望を振る指揮者 ゲルギエフと波乱のロシア

小林 和男(NHK出身)

国崩壊の混乱で見たロシアの底力

 世界の秩序がガラリと変わる現場に立ち会ったのは記者冥利に尽きるが、現実に見たのはおぞましい混乱だった。経済の混乱だけでなく信じていたものを失った国民の狼狽ぶりは想像を超える。その中で出会った男が主人公の指揮者ゲルギエフ。奇妙な初対面だったが、以来四半世紀の付き合いで彼の言葉が徐々に実現するのを見るのは感動的だった。具体的なエピソードと彼の言葉で、ロシア社会に潜む力をお伝えする。


かまくら春秋社 / 1728円 / ISBN 477400782X

■オウム真理教 偽りの救済

瀬口 晴義(中日新聞社東京本社編集局次長)

オウム事件を捉え直す

 新聞記者のライフワークの一つとして、オウム真理教事件を長年、取材してきた。教祖の著作を偶然手に取っていたら私もオウムに入り、サリンをまいていたかもしれない、という問題意識があったからだ。死刑囚4人をはじめ、服役中の無期懲役囚らと400通以上の手紙をやりとりしてきた。昨年7月、麻原彰晃元代表をはじめ元幹部13人の死刑が執行されたのを機に、自分なりの視点で事件を捉え直してみようと考えたのが本書である。


集英社クリエイティブ / 1728円 / ISBN 4420310839

■ほろ酔いばなし 酒の日本文化史

横田 弘幸(読売新聞出身)

日本酒造りに神秘あり

 日本酒造りは神秘だ。コメを糖に変えるための麹造りから、腐造を防ぐための火入れまで、すべては神頼みの作業だった。だから、今も酒造の現場には必ず松尾大社などのお札が祭られている。ただ、神様も酒を飲んだ人の振る舞いまでは面倒をみてくれなかった。酒で浮かれて名を残した貴族、酔って密議に踊った面々、酒封じの神になった武将、大臣のイスを棒に振った政治家――。様々なエピソードを交えて、日本の酒文化の歴史を追った。


敬文舎 / 1728円 / ISBN 4906822541

■ドキュメント「令和」制定(日本テレビ政治部)

菊池 正史(日本テレビ報道局政治部次長)

元号と政治の在り方を問う

 平成の時代は当時の小渕内閣官房長官が墨書を掲げて始まりました。それは「テレビ時代」を意識した演出でもあり、今回も踏襲されました。しかし、テレビが政治的演出のためのツールに終わってしまってはあまりにも情けない。「令和」の制定過程を早く伝え、歴史に残したいという使命感はもちろん、「元号」がもつ歴史的な意義と、政治との関係もえぐり出そうという意欲をもって執筆しました。

 生前退位の特例法を巡る政府と国会サイドの攻防、一世一元の原則から即位前の改元に反対した保守派の蠢動など、裏側で錯綜する政治的な思惑を浮き彫りにしています。また1979年の元号法制定の歴史を振り返り、時代の精神的な変遷も検証しました。「平成」制定を巡る新事実も満載です。改元がイベント化する中で、忘れられがちな本質的な考察にも挑戦してみました。


中公新書ラクレ / 842円 / ISBN 4121506626

■国家を食べる

松本 仁一(朝日新聞出身)

食べ物から考える国家の在り方

 イラク戦争ただ中のバグダッドで食べた鯉のあぶり焼き。チェルノブイリ汚染地区でかじった被曝リンゴ。無政府状態のソマリアのホテルで出されたパパイヤ。アフガニスタンの田舎の蛾入りシチュー。亡命したカイロ大准教授の家でご馳走になったウサギのモロヘイヤスープ…。あちこちの取材現場で食べたものの背後には、不安定に揺らぐ国家の姿があった。国家と文明の在り方を、その土地その土地の食べ物を通して考えていく。


新潮新書 / 842円 / ISBN 4106108232

■日本銀行「失敗の本質」

原 真人(朝日新聞社編集委員)

日本軍と黒田日銀の驚くべき相似

 日本銀行の異次元緩和は6年超に及び、まったく出口が見えない。黒田日銀はいまや超金融緩和の罠にはまってしまった。これではまるで戦争を止められなかった太平洋戦争下の日本軍と同じだ。日本軍を組織論的に分析した『失敗の本質』の着想をヒントに、現代の日銀の失敗の構造を読み解いた。自分でも驚くほど戦時との相似が多いことに気づかされた。財政ファイナンスの行き着く先は、間違いなく「第2の敗戦」であろう。

 


小学館新書 / 907円 / ISBN 4098253437

■凛としたアジア

伊藤 千尋(朝日新聞出身)

アジアの民衆のパワーの源泉

 100万人規模の市民運動で大統領を失脚させた韓国の民衆のエネルギー、ベトナム和平の花形だった「ベトコンの女王」から見るベトナムの今、米軍基地を返還させ原発を使わないまま廃炉にしたフィリピン、そしてテロの応酬から立ち直ろうと努力するスリランカを現地で歩きながら考えた。サンフランシスコ講和会議で「憎しみに愛を」と演説し、戦後日本の復興を助けたスリランカ外交を忘れてはなるまい。アジアは面白い。

 


新日本出版社 / 1728円 / ISBN 4406063331

■十二代目市川團十郎の世界―家元探訪・妻の思い出・多彩に輝く成田屋―

河村 常雄(読売新聞出身)

團十郎の知られざる魅力

 歌舞伎俳優十二代目市川團十郎は病を得て道半ばにして逝ったが、本業以外でも多方面で活躍した。「勧進帳」ゆかりの小松市では子供歌舞伎を、また九代目團十郎の衣鉢を継ぎむすめ歌舞伎を指導した。三大学の教壇に立ったほか、骨髄バンク運動にも尽力した。これほど多岐にわたる業績を持つ歌舞伎俳優は珍しい。そして夫人の大きな愛に支えられていた。歌舞伎への執念、豊かな人間味。團十郎の知られざる魅力を伝えたい。

 


出版研究センター / 1620円 / ISBN 491508518X

■米中対決の真実

古森 義久(産経新聞社ワシントン駐在客員特派員)

両国はなぜ対立するのか

 いまの国際情勢を最も激しく動かす要因といえば、まず米国と中国の対立だろう。では米中両国はなぜ衝突し、対決までするのか。本書はワシントンから長年の報道を続けてきた著者が北京駐在の体験をも生かし、米中関係の現状を多角的に分析した報告である。中国の近年の膨張を米国歴代政権がどう見てきたのか。特にトランプ政権の中国への認識や政策はどう形成されたのか。このあたりの実態に当事者の証言や一次資料の紹介で光を当てる。


海竜社 / 1512円 / ISBN 4759316612

■平成経済徒然草 パラダイム転換する世界と日本

小島 明(日本経済新聞出身)

「激変」の時代に脱落した日本

 平成の30年余は、敗戦から復興、経済大国にいたる「激動」の昭和に対して「激変」の時代だといわれる。「激変」したのは日本を取り巻く世界の地政学、地経学的な環境であり、日本自体は必要な大改革もできず世界の大潮流から脱落した。

 世界最速で進む人口高齢化も含め、大きな課題への取り組みが令和時代に先送りされた格好である。いろいろな分野で周回遅れとなっている日本の現実は厳しい。浮かれている時ではなく、現実を直視し、行動する覚悟が問われている。


日本経済新聞出版社 / 2160円 / ISBN 4532358175
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