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会員が出版した書籍を、著者自身によるワンポイント紹介とともに掲載しています。


■ドキュメント「令和」制定(日本テレビ政治部)

菊池 正史(日本テレビ報道局政治部次長)

元号と政治の在り方を問う

 平成の時代は当時の小渕内閣官房長官が墨書を掲げて始まりました。それは「テレビ時代」を意識した演出でもあり、今回も踏襲されました。しかし、テレビが政治的演出のためのツールに終わってしまってはあまりにも情けない。「令和」の制定過程を早く伝え、歴史に残したいという使命感はもちろん、「元号」がもつ歴史的な意義と、政治との関係もえぐり出そうという意欲をもって執筆しました。

 生前退位の特例法を巡る政府と国会サイドの攻防、一世一元の原則から即位前の改元に反対した保守派の蠢動など、裏側で錯綜する政治的な思惑を浮き彫りにしています。また1979年の元号法制定の歴史を振り返り、時代の精神的な変遷も検証しました。「平成」制定を巡る新事実も満載です。改元がイベント化する中で、忘れられがちな本質的な考察にも挑戦してみました。


中公新書ラクレ / 842円 / ISBN 4121506626

■港から見るオーストラリア・海から見る日豪関係

麻生 雍一郎(読売新聞東京本社社友、初代読売新聞シドニー特派員)

港と海から見た豪州建国史

 読売新聞シドニー支局を開設してから40年余が経つが、豪州との縁は今も続く。キャプテンクックがシドニーに上陸し、英国領を宣言してから2世紀半、連邦国家として独立してから120年。この短い期間に豪州は近代国家としてめざましい発展を遂げた。労働力も資本も限られていたが、それを港の造成に集中投資、そこから後背地の都市を作り、開発と交易に乗り出した。これは港と海から見た豪州建国史と日豪交流史。豪連邦政府設立の豪日交流基金が今年度の出版助成図書に選定した。

 


新聞情報社 / 1620円 / ISBN

■ドキュメント 誘導工作 情報操作の巧妙な罠

飯塚 恵子(読売新聞欧州駐在編集委員)

情報の「兵器化」による選挙介入

 2016年の米大統領選と英国のEU離脱国民投票は、ロシアによるソーシャルメディアを使った情報操作と選挙介入の主舞台となった。西側世界の反撃は、大手IT企業の消極姿勢が目立つ米国より、欧州の方が一歩進む。その欧州各地の当局者らに直接取材を重ね、欧州の対策の現状と課題、日本にも「誘導工作」は起きるのか、を考察した。彼らは来年の東京五輪・パラリンピックを控え、日本はもっと危機に敏感になるべきだと説く。


中公新書ラクレ / 886円 / ISBN 4121506529

■希望を振る指揮者 ゲルギエフと波乱のロシア

小林 和男(NHK出身)

国崩壊の混乱で見たロシアの底力

 世界の秩序がガラリと変わる現場に立ち会ったのは記者冥利に尽きるが、現実に見たのはおぞましい混乱だった。経済の混乱だけでなく信じていたものを失った国民の狼狽ぶりは想像を超える。その中で出会った男が主人公の指揮者ゲルギエフ。奇妙な初対面だったが、以来四半世紀の付き合いで彼の言葉が徐々に実現するのを見るのは感動的だった。具体的なエピソードと彼の言葉で、ロシア社会に潜む力をお伝えする。


かまくら春秋社 / 1728円 / ISBN 477400782X

■オウム真理教 偽りの救済

瀬口 晴義(中日新聞社東京本社編集局次長)

オウム事件を捉え直す

 新聞記者のライフワークの一つとして、オウム真理教事件を長年、取材してきた。教祖の著作を偶然手に取っていたら私もオウムに入り、サリンをまいていたかもしれない、という問題意識があったからだ。死刑囚4人をはじめ、服役中の無期懲役囚らと400通以上の手紙をやりとりしてきた。昨年7月、麻原彰晃元代表をはじめ元幹部13人の死刑が執行されたのを機に、自分なりの視点で事件を捉え直してみようと考えたのが本書である。


集英社クリエイティブ / 1728円 / ISBN 4420310839

■ほろ酔いばなし 酒の日本文化史

横田 弘幸(読売新聞出身)

日本酒造りに神秘あり

 日本酒造りは神秘だ。コメを糖に変えるための麹造りから、腐造を防ぐための火入れまで、すべては神頼みの作業だった。だから、今も酒造の現場には必ず松尾大社などのお札が祭られている。ただ、神様も酒を飲んだ人の振る舞いまでは面倒をみてくれなかった。酒で浮かれて名を残した貴族、酔って密議に踊った面々、酒封じの神になった武将、大臣のイスを棒に振った政治家――。様々なエピソードを交えて、日本の酒文化の歴史を追った。


敬文舎 / 1728円 / ISBN 4906822541

■国家を食べる

松本 仁一(朝日新聞出身)

食べ物から考える国家の在り方

 イラク戦争ただ中のバグダッドで食べた鯉のあぶり焼き。チェルノブイリ汚染地区でかじった被曝リンゴ。無政府状態のソマリアのホテルで出されたパパイヤ。アフガニスタンの田舎の蛾入りシチュー。亡命したカイロ大准教授の家でご馳走になったウサギのモロヘイヤスープ…。あちこちの取材現場で食べたものの背後には、不安定に揺らぐ国家の姿があった。国家と文明の在り方を、その土地その土地の食べ物を通して考えていく。


新潮新書 / 842円 / ISBN 4106108232

■止まった刻(とき) 検証・大川小事故(河北新報社報道部)

山﨑 敦(河北新報社報道部)

「命を守る1冊」に

 東日本大震災の津波で児童74人と教職員10人が犠牲になった石巻市大川小。わが子を失った親たちの時計の針は、「あの日」を境に止まったままです。「わが子は、なぜ亡くなったのか」。遺族の疑問に応えるべく、報道部一丸となって取り組んだ調査報道の成果が本書です。

 地震発生から津波襲来までの「空白の50分間」を克明に再現し、「自分ならどう行動したか」を考える材料を提供しました。ディテールへのこだわりは、正しい情報こそが正しい判断や教訓を導くと信じるからです。

 東北の被災3県(岩手、宮城、福島)と東南海7県(神奈川、静岡、愛知、三重、和歌山、徳島、高知)を対象に大規模な学校アンケートを実施し、巨大地震に備えて全国の学校が共有すべき課題も収録しました。全国で災害が多発する中、「命を守る1冊」となれば幸いです。


岩波書店 / 1836円 / ISBN 4000613480

■凛としたアジア

伊藤 千尋(朝日新聞出身)

アジアの民衆のパワーの源泉

 100万人規模の市民運動で大統領を失脚させた韓国の民衆のエネルギー、ベトナム和平の花形だった「ベトコンの女王」から見るベトナムの今、米軍基地を返還させ原発を使わないまま廃炉にしたフィリピン、そしてテロの応酬から立ち直ろうと努力するスリランカを現地で歩きながら考えた。サンフランシスコ講和会議で「憎しみに愛を」と演説し、戦後日本の復興を助けたスリランカ外交を忘れてはなるまい。アジアは面白い。

 


新日本出版社 / 1728円 / ISBN 4406063331

■日本銀行「失敗の本質」

原 真人(朝日新聞社編集委員)

日本軍と黒田日銀の驚くべき相似

 日本銀行の異次元緩和は6年超に及び、まったく出口が見えない。黒田日銀はいまや超金融緩和の罠にはまってしまった。これではまるで戦争を止められなかった太平洋戦争下の日本軍と同じだ。日本軍を組織論的に分析した『失敗の本質』の着想をヒントに、現代の日銀の失敗の構造を読み解いた。自分でも驚くほど戦時との相似が多いことに気づかされた。財政ファイナンスの行き着く先は、間違いなく「第2の敗戦」であろう。

 


小学館新書 / 907円 / ISBN 4098253437
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