2023年12月08日 16:00 〜 17:30 10階ホール
「ハマス・イスラエル衝突」(3) 渡辺靖・慶應義塾大学教授

会見メモ

イスラエルとイスラム組織ハマスが紛争を開始してから2カ月がたった。

バイデン米大統領は明確なイスラエル支援を打ち出し、イスラエルには自衛権があるとする考えを堅持している。この背景にはイスラエル・ロビーやキリスト教福音派の存在があるが、パレスチナ側の被害が拡大するにつれ、米国内でもかつてないレベルで批判の声が高まっている。

慶應義塾大学教授の渡辺靖さんが、中東情勢が米大統領選挙に与える影響、イスラエル・ロビーの最新の動向などについて話した。

 

司会 大内佐紀 日本記者クラブ企画委員(読売新聞)


会見リポート

バイデン氏「イスラエル一辺倒になれない」事情

田坪 睦 (時事通信社解説委員)

 イスラエルとパレスチナ自治区ガザのイスラム組織ハマスの戦闘は、バイデン米大統領の外交政策や再選戦略にも影響を及ぼしている。当初はイスラエルの自衛権支持を鮮明にしたバイデン氏だが、ガザの人道状況が悪化して国際社会の非難が強まる中、ネタニヤフ政権が「支持を失い始めている」と警告するまでになった。慶應義塾大学の渡辺靖教授は「バイデン氏がイスラエル一辺倒になれない」理由として、民主党左派や若い世代の存在感が増している事情を挙げた。

 渡辺氏は「アメリカ全体としてはイスラエル支持は言うまでもない」と前置きした上で、「ただ、世論調査を見ると、今回の襲撃の直後には圧倒的にイスラエルに同情的だった世論は減少傾向にある。その代わりに停戦を求める声が増加傾向にある」とし、「若い世代ほどこの傾向が強い」と米世論の動き説明した。

 さらに「民主党左派は反イスラエル色が強くなっていて、(党の)分裂要因にもなりかねない」という。ウクライナ支援に関しては共和党内の分裂が顕在化したが、ガザ地区を巡っては民主党内での対立構造が露呈。バイデン氏としては分裂を避けなければならず、「(イスラエルに)自制を求めている理由の一つにはこういう選挙事情もある」と分析している。

 来秋の大統領選でわずかな票差が勝敗を左右する激戦州では「ムスリム系」有権者がキャスチングボートを握り、民主党に不利に働く可能性があるので、「バイデン政権としては神経質にならざるを得ない」とも見ている。

 上の世代との比較では、トランプ前大統領を支持する米国第1主義の若者やリバタリアン(自由至上主義者)も増えている。それぞれ根拠は異なるが、民主党左派と合わせて共通点はイスラエル支援といった「介入主義に対して懐疑的、批判的といえる」。こうした人たちの声が高まっているのが「より本質的な問題」と述べた。


ゲスト / Guest

  • 渡辺靖 / Yasushi WATANABE

    慶應義塾大学教授 / professor, Keio University

研究テーマ:ハマス・イスラエル衝突

研究会回数:3

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