2025年07月18日 15:00 〜 16:30 10階ホール
「『コメ』はいつまで主食かー価格急騰を考える」(8)澁谷梨絵・シブヤ代表取締役、小池理雄・小池精米店代表

会見メモ

澁谷梨絵・シブヤ代表取締役と小池理雄・小池精米店代表が登壇。生産者、消費者と接してきた立場から、今回の令和の米騒動の背景や、この間のコメを取り巻く状況をどのようにみてきたのか、令和7年度産米以降の市場動向の見立てなどについて話した。

 

司会  石原淳子 日本記者クラブ企画委員 (テレビ東京)


会見リポート

米騒動 23年冬すでに気配

中津川 甫 (毎日新聞社経済部)

 会見前に配られた説明資料に目を通していると、ある一文に目が留まった。「米騒動の発端は、間違いなく2023年の夏の異常気象(高温と渇水)」。心当たりがあった。

 新潟支局にいた23年8月、越後平野に乾いた熱風(フェーン)が吹き、県内は記録的な少雨にも見舞われた。この影響で秋に収穫された新潟県産コシヒカリは、見た目の品質で最も高い「1等米」の比率が4%に激減する被害を受けていた。新潟県は生産量で日本一のコメどころだ。

 この年の異変を取り上げたのは、東京・原宿で唯一の米穀店「小池精米店」の3代目代表、小池理雄さん(写真2枚目)。「11月か12月ぐらいに『お米がない』と業界の中でもう騒動になっていた。『もしかしたらえらいことになるな』と、我々の感覚では一昨年の冬からあった」。その理由に等級が2等以下に落ちると、1等と同じ量の玄米を精米しても、白米になる量が少なくなる問題を指摘した。

 ただ供給不足はすぐに起きなかった。実際にスーパーの棚からコメが消える騒ぎが起きたのは24年8月以降。南海トラフ地震臨時情報などを受け、消費者らがコメの端境期に買いだめに走ったのが端緒とされる。

 都心の百貨店などで米穀店を構える「シブヤ」の澁谷梨絵代表(同1枚目)は当時、飛ぶように売れるため、千葉の産地に車で買い付けに走った時の苦労話を明かした。「詰めるだけ詰めてお店に持って来てもすぐ売れてしまう。(多忙で)2~3週間は記憶がないぐらい」。不足感から産地で起きた24年産米の調達競争が米価高騰の要因の一つとされるが、政府はさまざまな原因を現在検証している。

 コメの生産現場で何が起きていたのか。今夏も高温や渇水が懸念されている。25年産米の価格を見通す時、2人が経験した出来事が再び起きないかどうかの視点も欠かせない。


ゲスト / Guest

  • 澁谷梨絵 / Rie SHIBUYA

    シブヤ代表取締役 / President and CEO of shibuya

  • 小池理雄 / Tadao KOIKE

    小池精米店代表 / President and CEO of rice polishing shop koike

研究テーマ:『コメ』はいつまで主食か―価格急騰を考える

研究会回数:8

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