会見リポート
2025年12月15日
12:00 〜 13:00
10階ホール
アウンサンスーチー氏の次男 キム・エアリスさん 会見
会見メモ
ミャンマーで国軍によるクーデターが起きてから来年2月で5年。今月末には、国軍による総選挙も予定される。クーデター以降、国軍による拘束が続く民主化運動の指導者、アウンサンスーチーさんの次男、キム・エアリスさんが会見し、民主主義の回復とスーチーさんの自由を勝ち取れるよう働きかけを強めてほしいと訴えた。
エアリスさんは「この5年で1回しか(母からの)手紙を受け取っていない。地震以降、弁護士も面会できていない」と説明。「少なくとも軟禁状態に戻し、健康状態を確認できるようにしてほしい」と訴えた。
総選挙については「この選挙が軍(政)に正統性を与えることになれば、国民の状況はさらに悪化するだろう」とし、日本政府をはじめ各国に対して阻止するよう求めた。
2013年4月と2016年11月の2度、アウンサンスーチーさんは日本記者クラブで会見をしている。質疑応答で、同じ場所で会見をしていることについて尋ねられ、こう答えた。「私がここにいることを知ったら、母は悲しむだろう。こういう形で私が関与することを母は望んでいなかった」
司会 江木慎吾 日本記者クラブ専務理事・事務局長
通訳 吉國ゆり サイマル・インターナショナル
会見リポート
「世界の平和は不可分」
北川 成史 (東京新聞社会部)
記者会見前、母のサインが入ったゲストブックを静かに見つめるキム・エアリス氏(48)の姿があった。
アウンサンスーチー氏(80)は国家顧問としてミャンマーを率いていた2016年11月、日本記者クラブで会見した。しかし、21年2月にクーデターを起こした国軍に拘束され、27年の刑期を科されている。
「私がここにいると知ったら悲しむだろう」。スーチー氏の自由とミャンマーの民主主義の回復を求めた会見でエアリス氏は母を気遣った。
スーチー氏と英国人の父(故人)の間に生まれた。英国籍で英国在住。ミャンマーの政治に関わってこなかったが、クーデター後は「息子の私以外、彼女の代わりに声を上げられない」と精力的に発信している。
「過去5年で彼女から1回しか手紙を受け取っていない。彼女の状態を知るのも難しい」。会見でエアリス氏は語った。高齢のスーチー氏は歯や骨、心臓に疾患があるという。拘束場所すら明かさず、国民的人気の高いスーチー氏の政治生命を絶とうとする国軍を非難した。
国軍の権力への強い執着心は別の面でも浮かぶ。エアリス氏はミャンマーで12月28日から始まる総選挙を国際社会が認めないように訴えた。
選挙は民主派を排除した形で実施され、軍系政党の勝利が確実視されている。エアリス氏は「でたらめな選挙」と切り捨て、日本も国軍により強い圧力をかけるよう要望した。
ミャンマーではクーデター後、内戦が続く。人権団体の集計で7千人以上が死亡し、国連推計で350万人以上が国内避難民になっている。にもかかわらず、ウクライナや中東と比べ国際的関心は低い。その実態を踏まえ、エアリス氏はこう会見を締めくくった。「母が言ったように世界の平和は不可分だ。私たちはみんなを助けるよう努めないといけない。さもないと専制政治に直面した時、だれが助けてくれるだろうか」
ゲスト / Guest
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キム・エアリス / Kim Aris
民主化運動の指導者・アウンサンスーチー氏の次男
