2025年07月30日 16:00 〜 17:00 10階ホール
鈴木馨祐法相 会見

会見メモ

 外国人技能実習制度に代わる「育成就労制度」の創設などを盛り込んだ改正入管法が2024年6月に成立し、27年までに施行される。 鈴木馨祐法相が、「今後の外国人受入れの在り方について」と題し、会見した。

 

司会 井田香奈子 日本記者クラブ企画委員 (朝日新聞社) 

 


会見リポート

「外国人10%社会に備えを」

鶴田 瑛子 (読売新聞社政治部)

 「活力ある強い日本の実現には、自由で開かれた日本が不可欠だ」。鈴木氏は会見の冒頭、人口減少が加速する日本で、外国人の受け入れは欠かせないことをこう強調した。排外主義に陥る日本であってはならないとの強い思いを感じた。

 会見に先立つ7月の参院選では、これまでになく外国人政策が取り上げられた。一部の政党が外国人の権利縮小を訴える中、鈴木氏は「SNSを含め、真偽が定かではないことでも、それがきっかけで国民の不安が高まる状況にあった」と危機感をあらわにした。

 日本の総人口に占める外国人の割合は現在、3%弱にとどまる。2070年には10%を超えるとの推計があるが、鈴木氏は、人口減少のスピードによっては、「40年頃には10%を超える」と、30年前倒しとなる可能性を明らかにした。

 すでに10%を超えて外国人を受け入れる欧州諸国では、移民・難民政策への対応の遅れが、社会の分断や政治の混乱を招いている。鈴木氏はドイツなどを例に挙げ、「今から備えを」と警鐘を鳴らした。

 現在の日本の状況について、在留外国人の増加によって犯罪が多く引き起こされている状況ではないとした一方、一部地域では「摩擦が起こっているのも事実だ」と認めた。短期滞在ビザや難民申請を悪用した不法滞在者などには厳格に対応することで、国民の理解と納得を得ながら「秩序ある共生社会」を目指すと訴えた。

 今回の参院選をきっかけに、日本はいま、分断が起こりはじめる瀬戸際にあるのかもしれないと感じた。鈴木氏の発言からも危機感がにじみ出ていた。政府は、選挙の前だけの一時的な対策に取り組むのではなく、国民の間に不公平感や不安を生まないよう、将来を見据えた外国人との共生政策を正面から示してほしい。


ゲスト / Guest

  • 鈴木馨祐 / Keisuke SUZUKI

    法相 / minister of justice

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