2023年06月09日 13:00 〜 14:30 10階ホール
「人口減少 80万人割れの衝撃」 (6) 櫻井彩乃・任意団体GENCOURAGE(ジェンカレッジ) 代表

会見メモ

ジェンダー平等に向けた課題を包括的に学ぶ場「ジェンカレッジ」の代表で、政府の「こども未来戦略会議」のメンバーも務める櫻井彩乃さんが登壇。30歳未満の若者を対象に2022年9月、2023年3月に実施した結婚観や家族観に関するアンケート結果などをもとに、若者世代のリアルな声、政府の少子化対策に欠けている視点、真に必要な施策について話した。

 

司会 小林伸年 日本記者クラブ企画委員(時事通信)


会見リポート

若者が希望をもてる社会に

稲澤 裕子 (読売新聞出身)

 「人口減少 80万人割れの衝撃」研究会を締めくくる形で、こども未来戦略会議20代メンバーの1人、櫻井彩乃さん(28)が登壇した。SNSやアンケートで集約している「未来を担う若者の結婚や子どもに対するリアルな感覚」を当事者の立場で語った。第3回のゲストで福井県立大学教授の佐々井司氏(4月26日)が少子化の原因として「若者の諦め」を挙げたが、櫻井さんから出た言葉は、「絶望」だった。

 政策に若者の声を反映させようと、第5次男女共同参画基本計画案に対し30歳以下から1000件超の意見を集めた際、選択的夫婦別姓を求める声が最も多かったのは、櫻井さんにとっても想定外だったという。世界主要国で「日本だけ」夫婦が姓を自由に選べないばかりか、同性婚も認められない、緊急避妊薬が薬局で買えない――「選べない国、日本に対する絶望が、若い世代で広がっている」。

 成長しない日本経済の中に生まれ育ち、高度経済成長期とも、平成前期とも全く異なる環境に生きてきた若い世代には「今日より明日はきっとよくなる」という感覚は、ない。結婚や子どもはコストでありリスク。年間出生数80万人割れは「当然の帰結」でしかない。「子育て以前に、そもそも自分たちの未来に希望が持てない」。

 同時に強調したのは、少子化対策は「産めよ増やせよ」ではないこと。結婚や子どもを産む選択は個人の自由で、強制されるものではない。少子化対策に求められるのは、子育て支援にとどまらず、結婚や妊娠以前の人たちが安心して結婚し、安心して子どもを産める社会にしていくこと。

 「異次元の少子化対策は、性別などによる生きづらさをなくすことを、ど真ん中に据えてほしい」

 選択肢を増やす政策には、お金がかからない。ラストチャンスとされる2030年、櫻井さんは35歳だ。できることはすべて、できることからすぐにやっていかなくては。「希望をもてる国」に変わるために。


ゲスト / Guest

  • 櫻井彩乃 / Ayano SAKURAI

    任意団体GENCOURAGE 代表

研究テーマ:人口減少 80万人割れの衝撃

研究会回数:6

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