2023年04月28日 11:00 〜 12:00 10階ホール
呉江浩・駐日中国大使 会見

会見メモ

3月に着任した呉江浩大使が「中国の外交政策と中日関係」をテーマに登壇。中日関係は「重大な岐路に立っている」と述べ、新しい時代にふさわしい中日関係を構築するために①何を堅持すべきか②何をコントロールすべきか③何を強化すべきか――の3点について双方が真剣に考えるべきにあると強調した。

コントロールすべき点として、台湾問題を挙げ「中国の内政の問題であり、いかなる外部勢力も干渉する権利はない」と強調。「台湾有事を日本有事に結び付けるのは非論理的できわめて有害」と述べた。

 

司会 沢井俊光 日本記者クラブ副理事長(共同通信)

通訳 陳浩(駐日中国大使館)


会見リポート

発言に予想超える強硬さも

中澤 穣 (東京新聞外報部デスク)

 中国の呉江浩駐日大使は、本人がこの日の記者会見で言及したように日中関係が「重大な岐路に立つ」中の3月に着任した。着任以来、自身のツイッターでは各政党や経済関係者などとの交流をマメにツイートしているが、公の場に登場するのはこの日が初めて。会見はおおむね想定内の内容だったものの、発言の一部は予想を超えた強硬ぶりだった。

 その一つは台湾を巡る発言だ。「台湾有事は日本有事という言い方は荒唐無稽で、中国の純内政問題を日本の安全保障と結び付けることは非論理的であり、極めて有害だ。日本の民衆が火中に連れ込まれることになる」。さらに中国が武力行使を放棄しないことは「台湾独立への根本的な抑止力になる」とも言及した。3月に開かれた全国人民代表大会(全人代)での李強新首相らの発言と比べても、呉大使は強い言葉を選んだという印象を受けた。

 もう一つ注目されたのは、中国当局によるアステラス製薬幹部の拘束に関する発言だ。質問にはなかった幹部の実名を挙げて、「中国の国家安全に関わるスパイ事件であり、その事実はますます確実になっている」と断じ、早期解放に応じない構えを見せた。一方で「(中国で)道を歩いても、写真をとっても、友達と話しても捕まるなどということはない」と訴えて、日本企業の撤退などの事態を避けたい考えを示した。

 冒頭発言は極めて流ちょうな日本語で行われ、質疑は中国語で応じた。全体を通じ、「強引に中国を封じこめようとしている」などと米国を繰り返し非難した上で、日本には米国に追随しないように求め、「日本を敵扱いする意思はない」と友好を呼びかけた。停止されている日本人のビザ免除措置(15日間)については本国と協議中としつつ、「中国人観光客にもノービザで日本への渡航ができるようにしてはどうか」との考えを披露した。


ゲスト / Guest

  • 呉江浩

    駐日中国大使

ページのTOPへ