2023年03月31日 13:30 〜 15:00 10階ホール
「日本の安全保障を問う」(10) 加藤洋一・早稲田大学アジア太平洋研究センター特別センター員

会見メモ

台湾国防部傘下の國防安全研究院で2021年から2年間、客員研究員を務め、昨年末に帰国した加藤洋一さんが登壇。「台湾有事と日本の選択 ~"Security Consumer"から"Security Provider"へ~」と題し、台湾から見た日本の台湾有事論、日本における台湾戦略策定の必要性と具体的な提言などについて話した。

 

司会 杉田弘毅 日本記者クラブ企画委員(共同通信社)


会見リポート

「併合」リスク希薄な台湾有事論

宮田 英紀 (西日本新聞社論説委員)

 台湾の蔡英文総統が訪米し、馬英九前総統は中国を訪れているさなかでの会見となった。「中国による台湾の『併合』そのものを阻止しなければならない」との問題意識を前面に「日本は米国の恩恵を受けるSecurity Consumerだったが、Security Providerの役割を果たさなければならない」と訴えた。

 基調にあるのは「台湾不在の台湾有事論」への懸念だ。「中台軍事紛争への『巻き込まれ』からいかに逃れるかという発想では不十分。日本の国益は守れない」という。「武力行使に至る前に台湾が中国からの働きかけで『併合』されてしまうケースもあり得る」との指摘も、現在の日本国内の論議で希薄な視点だろう。

 「巻き込まれ」を阻止しても「併合」を阻止できなければ、ともに阻止できない場合に次いで日本にとって悪いシナリオと分析する。「このケースが主戦場だ。ホンジュラスの台湾断交や馬英九訪中など台湾の外交的孤立を印象づける形で既に戦いが起きている」と強調した。

 日本にとって、台湾「併合」は軍事面、経済・通商面での深刻なダメージにとどまらず、米国のリーダーとしての信頼が傷ついて同国に安全保障を依存していた国も中国の影響下に入る可能性を指摘。「日本は『赤い海に浮かぶ民主主義の孤島』になりかねない」との言葉が生々しく響いた。

 必要なことは「日本防衛」を超えた戦域規模での包括的な「台湾戦略」という。現実的な当面の目標は「現状維持」だが、台湾に安心感を与えることで中国の働きかけに抵抗できなくなる状況を防ぐ「能動的」なものでなければならないとする。

 具体例としてエネルギー分野での支援を挙げ、広島サミットで岸田文雄首相が議論をリードできるよう、事前に官僚OBや自衛官OBらで構成する事実調査ミッションを台湾に送ることを提言した。


ゲスト / Guest

  • 加藤洋一 / Yoichi KATO

    早稲田大学アジア太平洋研究センター特別センター員

研究テーマ:日本の安全保障を問う

研究会回数:10

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