2023年02月27日 14:00 〜 15:30 10階ホール
「かかりつけ医を考える」(8) 三原岳・ニッセイ基礎研究所主任研究員

会見メモ

ニッセイ基礎研究所主任研究員の三原岳さんが、「かかりつけ医を巡る論争とは何だったのか」をテーマに登壇。昨年12月の制度改正案やこの間の論争と経緯、「かかりつけ医」を巡る歴史を踏まえ、今後の論点と方向性について話した。

 

司会 竹田忠 日本記者クラブ企画委員(NHK)


会見リポート

「神学論争」に陥らない議論を

前村 聡 (日本経済新聞社社会保障エディター)

 「かかりつけ医はどうあるべきか」を巡って百家争鳴が続く。異なる立場で議論するためには共有すべき事実が重要となる。16年の記者経験を経てシンクタンクの研究職に転じて13年目の三原氏。「まだ左半分は新聞記者的な感覚を持っている」というだけに、膨大な資料を示しながら経緯を分かりやすく読み解いた。1980年代の家庭医構想からの「時間軸」と、地域ごとの自律性に委ねて病床再編を目指した地域医療構想の経緯を踏まえた「地域軸」という2つの軸を据えた論考は「あるべき論」を考える土台となる。

 英国のように特定の受診先に包括的に診てもらう「ケアの包括性」と、日本のように自由に受診先を選べる「患者の受療権」。この二律背反が「神学論争」の根幹にある。「英国型か日本型か」という対立を超える視座として、三原氏は中間的な位置づけとしてフランスを取り上げた。フランスは日本と同様にフリーアクセスだったが、2005年からかかりつけ医の登録を義務づけた。一方、患者が費用負担すれば大病院も直接受診できる。日本の現状にも近く、「医療の入り口」を原則として1つにしながら二律背反のバランスを保つために三原氏は「学べる部分は多い」とする。

 三原氏が俯瞰的にひも解いた歴史を振り返ると、医療界、保険者、厚生労働省、財務省など利害関係者が「本当は何を目指しているのか」を改めて考えさせられる。目指すべきは「患者が必要なときに適切な医療を受けられる」ことだ。残念ながら医療の質には格差がある。かかりつけ医に包括的に診てもらっても、自由に受診先を選べても、適切な医療を受けられなければ意味がない。

 「40年前とほぼ同じ論点。神学論争に陥らない議論が必要」という三原氏は国民への情報提供のあり方や書面交付の患者―医師関係を1対1にするかどうかなどに注目する。目指すべきことを見誤れば迷走は続く。三原氏が2月にニッセイ基礎研究所のサイトに公表した2本の詳細なレポートもぜひご覧いただきたい。


ゲスト / Guest

  • 三原岳 / Takashi MIHARA

    ニッセイ基礎研究所主任研究員 / Senior researcher, NLI Research Institute

研究テーマ:かかりつけ医を考える

研究会回数:8

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