2021年03月01日 13:30 〜 14:30 オンライン開催
一力遼 囲碁二冠 会見

会見メモ

2020年に囲碁の七大タイトルのうち碁聖位、天元位を相次ぎ獲得した一力遼二冠(写真左)が師匠の宋光復九段(写真左から3枚目)とともに登壇した。天元戦では、七大タイトル戦の挑戦手合いで過去勝つことのできなかった井山裕太三冠を破る快挙。一力氏は「昨年春に大学を卒業し、(コロナによる)4、5月の自粛期間で囲碁に向き合う時間ができた。自分の囲碁を見直したことが結果に結びついた」と説明した。

記者と棋士の“二足の草鞋”をいつまで続けるのか――との問いには「基本的には囲碁中心にやっている。新聞社も先祖から100年以上続いている大事なもの。ちょっとわからないというのが正直なところ…」と述べるにとどめた。

司会 川上高志 日本記者クラブ企画委員(共同通信)

代表質問 森本孝高 新聞三社連合記者

 


会見リポート

棋士と記者「二足のわらじ」/「自粛で囲碁と向き合えた」

渡部 道雄 (共同通信社囲碁・将棋チーム編集長)

 囲碁の七大タイトルである碁聖、天元を昨年獲得した一力遼二冠(23)。二冠を獲得できたことについて「大学卒業後、(コロナ禍による)4、5月の自粛期間中に囲碁と向き合うことができ、タイトル獲得につながった」と述べた。

 一力二冠は昨春に早稲田大を卒業、河北新報社に入社した。囲碁棋士と新聞記者という「二足のわらじ」を履いている。

 実は、一力二冠は昨年8月の碁聖獲得まで井山裕太三冠(31)に七大タイトル戦の挑戦手合で5連敗していた。

 「学生の時は試験と対局が重なり、日程調整に難しい点があった」と吐露。そうした時間的な制約からの解放が好結果につながったようだ。

 井山三冠から天元を奪取できた理由について、「以前は序盤から仕掛けたが、それを見直したのがいい結果につながった」とも。会見に同席した師匠の宋光復九段も「序盤でじっと構えるなど今までに無く幅が広がり、結果に結び付いた」と弟子の成長を喜んだ。

 一力二冠とともに「令和三羽がらす」と呼ばれる芝野虎丸二冠(21)、許家元八段(23)というライバルの活躍に衝撃を受け、「自分もさらに努力しなければならないと思った」。

 国際棋戦で日本人棋士がなかなか勝てない。その現状について「中国と韓国のトップ棋士についていくのは大変。彼らの強みは時間に対する考え方。早く考えるのが勝つポイント。私も(時間の使い方を)モデルチェンジしてさらに精進して臨みたい」と述べた。

 新聞記者としては現在、囲碁コラムを執筆中。「囲碁の魅力を伝えられるよう頑張っていきたい」と抱負を示した。

 人工知能(AI)について、一力二冠は①序盤、特に流行しているスタイルの研究②自分が打った碁の検討―に活用している。AIは人間をはるかに超えている。「どう(人間とAIが)共存するか。(われわれは)AIの良い部分を吸収することが大事だ」と締めくくった。


ゲスト / Guest

  • 一力遼 / Ryo Ichiriki

    二冠 / Go player

  • 宋光復 / SONG, Kwang Bok

    九段 / Go player

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