2019年07月26日 13:30 〜 15:00 10階ホール
「2019参院選後の日本 民意を読む」(1) 松本正生・埼玉大学社会調査研究センター長

会見メモ

今回で9回目の登壇。世論調査と選挙分析の第一人者である松本氏が、7月21日に投開票が行われた参院選の結果分析を中心に、世論調査、選挙報道のあり方などについて語った。参院選の結果について、松本氏は調査結果をもとに「投票率が高かろうが低かろうが結果は変わらなかったのではないか」と解説。「それだけ選挙が面白くなかったということ」と総括した。
記者クラブへのメッセージは「有権者登録制のすすめ」。前回登壇したときと同じ言葉を揮毫した。「日本は18歳になれば無条件に『選挙権』が与えられる。『選挙権』なのだから、政治にかかわるという意思表示の機会があってもいいのではないか」。

 司会 山田惠資 日本記者クラブ企画委員(時事通信社)

 

「2019参院選後の日本 民意を読む」

(2) 細谷雄一・慶應大学教授 7月29日(月) 13:00~14:30  YouTube動画

(3) 白井聡・京都精華大学専任講師 7月31日(水) 13:30~15:00 YouTube動画

(4) 中島岳志・東京工業大学教授 8月1日(木) 13:30~15:00

(5) 待鳥聡史・京都大学大学院教授 8月5日(月) 13:30~15:00

(6) 砂原庸介・神戸大学大学院教授 8月9日(金) 13:00~14:30

(7) 開沼博・立命館大学准教授 8月19日(月) 13:30~15:00

 


会見リポート

若年層、安倍支持が「初期設定」

古田 哲也 (東京新聞政治部)

 今回の参院選を読み解くシリーズの初回は、選挙情勢を知る上で欠かせない世論調査が切り口となった。

 埼玉大の社会調査研究センターと調査会社グリーン・シップが選挙期間終盤に実施した、携帯電話のショートメールを介した全国調査によると、10~20代の若年層は政治家に強い不信感を抱きながらも、安倍内閣への支持率は6割超と高い。松本氏はこの結果を「若者は、今は安倍内閣だから『支持する』にチェックを入れるのがデフォルト(初期設定)でしょ、という反応だ」と説いた。

 6年半の長期政権となり、若年層は安倍内閣が続くことに何の疑いも持たない。そのことに改めて気づかされ、がく然とした。

 松本氏は世論の安倍支持について「熱狂的ではなく受動的。だからこそ根強い。経済が切羽詰まってくる時には変化が起きるだろうが、なるべく避けたい、見たくないと思っている」と、心情的な背景も解説した。安倍政権の命運は経済状況が握っているという見方は、松本氏だけでなく、参加者も賛同するところだったのではないか。

 会見のテーマは「『シルバー民主主義』再考」。16年の前回参院選から選挙権が18歳に引き下げられ、有権者全体の比率が高い高齢層よりも、若年層の投票行動にどうしても関心が向かう。だが10代の投票率は低いままだ。

 松本氏は「制服を着た高校生が投票する姿を見て、世の中の大人が刺激を受けるはずだと注目したが、(前回投票率は)54%にすぎなかった。当の大人たちが選挙離れしている。大人が行かない選挙に若者が行くはずがない」と厳しく指摘。「大人たちが変わらないと、社会は変わらない」と強調した。

 投票率は選挙結果を左右すると思ってきたが、今回は「高くても低くても変わらなかっただろう」とズバリ言われたのが印象に残った。


ゲスト / Guest

  • 松本正生 / Masao Matsumoto

    日本 / Japan

    埼玉大学教授/ / professor director, social survey research center, Saitama University

研究テーマ:2019参院選後の日本 民意を読む

研究会回数:1

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