会見リポート
2019年08月09日
13:00 〜 14:30
10階ホール
「2019参院選後の日本 民意を読む」(6) 砂原庸介・神戸大学大学院教授
会見メモ
政治学、行政学、地方自治が専門の砂原庸介教授が、参院選の結果をもとに選挙制度のボトルネックや将来展望を語った。
砂原教授は著書『大阪』(中公新書、2012年)で第35回サントリー学芸賞(政治・経済部門)、『分裂と統合の日本政治――統治機構改革と政党システムの変容』(千倉書房、2017年)で第17回大佛次郎論壇賞を受賞。その他著書に『民主主義の条件』(東洋経済新報社、2015年)などがある。近著は『新築がお好きですか?:日本における住宅と政治 』(ミネルヴァ書房、2018年)。
司会 坪井ゆづる 日本記者クラブ企画委員(朝日新聞)
会見リポート
「代表されない有権者」
川上 高志 (企画委員 共同通信社特別編集委員)
今回の参院選に現れた民意を、砂原氏は政党を通じて整理した。重要なのは「右派・小さな政府」対「左派・大きな政府」という横軸に交わる縦軸に、「生活保障」対「社会的投資」という対比を据えた点だろう。
このマトリクスの中で、自民党が中間からやや右寄りを幅広く占めるのに対して、立憲民主党や国民民主党などの野党勢力は「左派・生活保障」の領域内で過当競争をしている。
ぽっかりと空いているのは、自民党よりも右側と、「左派・社会的投資」の領域であり、そこに深刻な「代表されない有権者」が存在するという分析は説得力を持つ。
では空白の領域を埋める政党は現れるのか。砂原氏は国政と地方で様々な制度によって分散して行われる選挙が、政党の「統合」を困難にしていると指摘した。政党政治をどう再建するのか。難題の提示である。
ゲスト / Guest
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砂原庸介 / Yosuke Sunahara
神戸大学大学院法学研究科教授 / Professor of Public Administration,Graduate School of Law, Kobe University
研究テーマ:2019参院選後の日本 民意を読む
研究会回数:6