2018年04月16日 15:30 〜 16:30 10階ホール
「公文書管理を考える」(1) 三宅弘弁護士

会見メモ

福田内閣の「公文書の在り方等に関する有識者会議」に参加して公文書管理法制定に携わり、現在も内閣府の公文書管理委員会委員を務める三宅弘弁護士が、管理法制定の経緯や管理のあり方などについて話した。

三宅弘弁護士(原後綜合法律事務所)

公文書管理委員会

司会 川村晃司 日本記者クラブ企画委員(テレビ朝日)

 


会見リポート

数百人規模の公文書管理庁新設でチェック強化を

青島 顕 (毎日新聞社会部)

 昨年来の森友・加計両学園を巡る問題が再燃し、公文書管理が改めて注目されている。内閣府の諮問機関である公文書管理委員会の委員長代理を務める三宅弘弁護士が、最近の問題を踏まえて解説した。

 役所内で複数の職員間の連絡に使われれば公文書の「組織共用性」という定義を満たすのに、職員が「個人のメモ」として作れば公文書扱いされていないケースや、役所の意思決定に関わる文書なのに保存期間「1年未満」に設定されて勝手に捨てられてしまうケースを厳しく批判。3月の朝日新聞の報道で発覚した財務省の文書改ざんを「昨年1年間の議論は何だったのか」と嘆いた。

 自衛隊の国連平和維持活動(PKO)派遣部隊の日報について、防衛省がいったん廃棄したと説明した後に次々に見つかっている問題にも触れ、「外務省外交史料館同様に、史料館を設けて戦略的な集中管理をすべきだ」と提言した。

 改善策も示した。改ざんや不作成に対しては公文書管理法を改正して科料などの罰則規定を設けることや、安易な文書廃棄を防ぎ国として文書のチェック態勢を強化するために、内閣府公文書管理課を改組・独立させた数百人規模の公文書管理庁を作ることを呼びかけた。

 さらに①公文書の定義の一つである「組織共用性」を廃止して役所で保存すべき文書の範囲を広げること②情報公開法を改正して「知る権利」を明記すること③情報公開訴訟で開示・不開示が争われた文書について、裁判所に密室での閲覧権を与えて公平な判断を促す「インカメラ審理」の導入すること――を求めた。

 三宅弁護士は15年にわたって公文書管理や情報公開について、専門家の立場から発言を続けてきた。これまでは地味な分野で脚光を浴びることが少なかったが、国民の関心が高い今こそ、解決の好機になるかもしれない。


ゲスト / Guest

  • 三宅弘 / Hiroshi Miyake

    日本 / Japan

    弁護士 / Attorney-at-Law

研究テーマ:公文書管理を考える

研究会回数:1

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