2018年01月18日 16:30 〜 17:30 10階ホール
ベンアリ 新駐日イスラエル大使 会見

会見メモ

信任状を前日皇居で提出したばかり。

前職は外務省経済局長だけに、AI立国のイスラエルの優位性や日本との経済関係の進展ぶりについてよどみなく話す。「中国や韓国とは直行便があるのに、日本とはない。なるべく早く開設にこぎつけたい」と意欲を示した。

米政府がエルサレムをイスラエルの首都と承認した問題については、「エルサレムは3000年以上にわたりユダヤ教の聖地として存在している。これが認められない限りは、和平プロセスの進展は期待できない」

司会 杉田弘毅 日本記者クラブ企画委員(共同通信)

通訳 池田薫


会見リポート

「幸福感が重要」と強調

小倉 孝保 (毎日新聞社外信部長)

 信任状捧呈式で天皇陛下に謁見して30時間後の会見となった。「正式に大使になったばかり。ほやほやです」と茶目っ気を見せた。

 「日本に来ることが長年の夢でした」と語りながらも、これまで駐日大使館勤務はなかった。ただ、2010年の中国・上海万博ではプロジェクト・マネジャーとして現地に1年近く滞在している。東アジアとの関わりは少なくない。

 会見ではイスラエルと日本の共通点として、「天然資源に恵まれず、人への投資で国を立て直した」ことや、「周辺国の脅威にさらされている」ことを挙げた。その上で、事前に細部にまで気を配り周到に準備する日本人と、現場での適応力の高いイスラエル人が協力することで、様々な分野で高い効果が期待できると訴えた。

 会見は当初予定を30分以上超過したが、資料は用意せず、最後までメモも取らなかった。質疑応答の際、カバンに入れておいた自分の携帯電話が突然鳴った。携帯を取り出すと画面を触りながら、「イスラエルからです。私、母親なんです」と当意即妙に答えた。電話はイスラエルに残した一人娘からだったようだ。

 自身はイスラエル生まれだが、両親はポーランド出身。母はホロコースト(ユダヤ人大虐殺)から危機一髪で逃れた経験があり、「あのとき母が逃げてくれなかったら、今の私はなかった」との思いは強い。会見では、「経済発展も大切ですが、人生に欠かせないものは幸福感です」と強調。この人の家族の経験について知ると、「幸福感」の言葉の重みも違って感じられる。

 学生時代はジャーナリストを夢見、外務省で報道部メディア広報課長を務めた。ジャーナリスト活動に対する理解の深さが期待できる。肝っ玉母さんを思わせる風貌。両国間に航空機の直行便を早期に開設すべきと訴えたのが印象的だった。


ゲスト / Guest

  • ヤッファ・ベンアリ / Yaffa Ben-Ari

    イスラエル / Israel

    駐日イスラエル大使 / Israeli Ambassador to Japan

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