2017年08月04日 12:00 〜 14:00 10階ホール
ラウレル5世 駐日フィリピン大使 昼食会

会見メモ

6月に信任状を提出した。祖父は日本軍政下の大統領、父親はマルコス時代の駐日大使、伯父はコラソン・アキノ大統領時代の副大統領を務めた。バタンガス州(ルソン島南西部)知事、トヨタ・バタンガス社長、比日協会会長などを歴任。


司会 土生修一 日本記者クラブ専務理事

通訳 西村好美(サイマル・インターナショナル)


会見リポート

父子2代駐日大使の真情

千野 境子 (産経新聞出身)

最初は目を紙に落とし、淡々と読むスタイルだったのが、質疑応答では一転して家族や比日関係の話に通訳を忘れるほど?熱がこもった。

 

ラウレル家と言えば、フィリピンで100年以上にわたり様々な公職に就いてきた名門中の名門にして同国を代表する親日派。父のラウレル3世も駐日大使(1966年~71年)を務めた。

 

日本の敗色が濃厚となった44年12月、軍政下大統領の祖父や家族と奈良に疎開、3歳まで日本で暮らした。祖父や父は巣鴨で岸信介氏と親交を結び、自身も青年時代から麻生太郎財務相や知己を各界に持つ。

 

大統領選で名門家の支持を仰いだドゥテルテ氏に大使は家族を招集、政策について3時間半聞いた。「祖父の語る理念と同じように思えた」のが支持の決め手だったという。一族の結束の固さ、先人への尊敬の念が伝わってくる。「政権の成果は現れている。間違っていなかった」と断言した。

 

ユニークな大統領の登場を米仏の例にも触れながら「世界は変わりつつある。新しい革新が求められているのではないか」と分析した。

 

前政権と異なる南シナ海問題での対中融和姿勢には「領有権を放棄したわけではない。少し脇に置き現実的に見ようということ」との答え。「どこの国とも敵対しないのが比外交」とはいえ、日本には気掛かりだ。

 

そうした中で、「比日関係は今、ベストの状態」。6月にカエタノ外相が訪日した際の「比日関係は和解と協力と兄弟愛のお手本」との言葉も引いた。戦後、「親日派」は順風満帆ではなかったはずだが、その風雪を超えて「フィリピン人から見て日本は尊敬に値する国です」と。

 

最後に大使の抱負を問われると「もう73歳。普通は引退の年ですよ」と笑いながら「最大の願いは両国が今の関係を維持すること、国民同士が敬意を持ち続けることです」。心底からの思いと受け止めた。

 


ゲスト / Guest

  • ホセ・C.・ラウレル・5世 / Jose C. Laurel V

    フィリピン / Philippines

    駐日大使 / Ambassador to Japan

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