2017年04月25日 13:00 〜 14:00 9階会見場
「チェンジ・メーカーズに聞く」21  松本晃 カルビー会長・CEO

会見メモ

大手商社から外資系企業社長を経て09年にカルビーへ。女性の積極的登用など大胆な働き方改革を推進中。「スタバにいた方が成果があがるなら、会社なんかこなくていい」。日本的労働慣行に真正面から戦いを挑んでいる。

 

司会 播摩卓士 日本記者クラブ企画委員(TBSテレビ)


会見リポート

人材の多様化に実利 国際競争勝ち抜く条件に

村松 雅章 (日本経済新聞社編集局シニア・エディター)

2018年卒大学生の就職企業人気ランキングで理系女子が目指す上位50社の中にカルビーの名前を発見した。女性が活躍する会社という同社への評価は若者の間にも広がっているようだ。トップの松本晃氏は職場で性別や年齢にとらわれず人材を活用するダイバーシティー(多様化)の重要性を説く。その言葉に説得力を感じるのは同社が変革と成長を同時進行させているからだろう。

 

女性社員の管理職比率を向上させるなど具体的な目標を次々に実現してきた。「日本人、男性、シニア、有名大卒だけに任せられない」と語り、変化に応じた仕組みづくりの必要性を唱える。働き方改革についても「成果が時間に比例する時代ではない」と指摘。「『やらなければいけないこと』だけやったら帰れ。『やった方がいい』ことはやめてしまえ」と歯切れがいい。

 

会社の業績は最高益を更新中だ。「成果の出ない変革はしない」と断じ、ダイバーシティーの推進も成長エンジンにするための長期投資と位置づける。今やダイバーシティーを否定する経営者はいないだろうが、いざ実践となるとコストが気になり掛け声倒れになってしまいかねない。「業績が悪化するとダイバーシティーのせいにされる。だから業績にこだわる」という松本氏。徹底したコスト管理で儲けをたたき出し、未来への種をまき続ける姿勢は、「名ばかり改革」がはびこる日本の企業文化への挑戦とも映る。

 

伊藤忠商事からジョンソン・エンド・ジョンソン日本法人などを経て、09年現職に就いた。外部からトップに招かれ組織を変革する「プロ経営者」として、サントリーホールディングス社長の新浪剛史氏らと並び称されることもある。そのプロの目から見たカルビーはいくら国内で強くても、まだ外国勢と比べて利益率が低く、海外展開も不十分な「内弁慶」だ。国際競争では「能力のある人をどんどん使わないと勝ちようがない。勝てないと(企業は)死ぬ。だからダイバーシティーはマスト(=やらなければならないこと)」。ユーモラスな語り口から飛び出した直截な言葉にプロの危機感を垣間見た。


ゲスト / Guest

  • 松本晃 / Akira Matsumoto

    日本 / Japan

    カルビー代表取締役会長兼CEO / Chairman of the Board & CEO, Representative Director, Calbee Inc.

研究テーマ:チェンジ・メーカーズに聞く

研究会回数:21

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