会見リポート
2014年10月24日
14:00 〜 15:30
10階ホール
イグ・ノーベル賞受賞者 馬渕清資北里大学教授
会見メモ
会見場に教授の歌声が響き、笑いと拍手が起きた…「人々を笑わせ、考えさせてくれた業績」に贈られるイグ・ノーベル賞の今年度受賞者、馬渕教授が会見した。受賞対象は「バナナの皮はなぜすべりやすいのか」の研究。本職である人工関節研究で摩耗解消に取り組み、その関連でバナナの皮に目を付けた。ハーバード大での授賞式で披露した、研究を要約した英語の替え歌を、会見ではフルバージョンで歌い切った。歌の場面は、動画録画では最初から60分あたり。
司会 中井良則 日本記者クラブ専務理事
会見リポート
バナナの皮は本当に滑った 科学と笑いでイグ・ノーベル賞
中井 良則 (日本記者クラブ専務理事)
イグ・ノーベル賞なんてただの余興さ、と思っている方、それは誤解です。常識に疑問を抱き、未知の事象を探求し、だれも知らなかった事実にたどりつく。そうした科学の王道を極めないと受賞には至らない。しかも、それだけではもらえない。「笑い」という人間の奥深い精神が求められる。ノーベル賞より難しそうだ。
バナナの皮は滑る。みんな知ってはいたが、本気で調べた人はいない。専門の人工関節研究を踏まえ、実験を重ね、摩擦係数を計測する。発表した学術論文を面白く説明してもらった。
「科学の実用性を追い求めると、人間は満ち足りた至福の状態になるかもしれない。しかし、そこに笑いはあるでしょうか」。サイエンスと人間の幸福に話は及んだ。
発見の意義を英語で説き明かすバナナの歌も朗々と披露し、大きな拍手を浴びた。授賞式でも歌ったが、持ち時間は60秒しかない。賞のしきたりで8歳の女の子に「退屈だな、もうやめて」と宣言されてしまった。「日本で初めてフルバージョンを歌い切った」と満足そう。今年、最も笑った会見。動画で必見です。
ゲスト / Guest
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馬渕清資 / Kiyoshi Mabuchi
北里大学教授(イグ・ノーベル賞受賞者) / Professor of Kitasato University, Ig Nobel Prize winner