会見リポート
2009年01月07日
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久保文明・東京大学大学院教授「オバマのアメリカ」1
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会見リポート
まずは超大型景気刺激策の可決
水野 孝昭 (朝日新聞論説委員)
米国政治研究の第一人者の久保文明・東大教授は「政権発足後、一年間のうちに2、3本の重要法案を通せるかが死活的に重要だ」と指摘する。米国経済の浮沈がかかる超大型の景気刺激策は、政権発足直後の2月はじめに議会で法案を通すことを目指すとの見通しだ。
大統領選の勝利をもたらしたのは、黒人層、若者、高学歴層などの強い支持だった。人種の壁を乗り越えて、機会をつかんだ「アメリカン・ドリーム」の体現者としての語り口が、支持者を熱狂させてきた。
だが「夢を語る候補者」としての成功が、実際の政権担当能力を保証するわけではない。イラク戦争反対を唱えてリベラル左派とみられていたオバマ氏だが、人事では思い切って中道派寄りの姿勢を打ち出した。ライバルだったクリントン氏を国務長官に起用し、共和党のゲーツ国防長官を留任させた。外交も超党派ですすめたいというメッセージだろう。
気になるのは、新政権のアジア政策だ。民主党政権のもとで対中傾斜や日本軽視を懸念する声が、一部に根強い。久保教授は楽観的だ。オバマ政権は環境や援助などグローバル問題を重視するから、日本は協調しやすいはずという。「対中政策は労組や人権団体からタカ派まで米国内のイデオロギー対立が激しい。対日政策に党派対立はない」という。
とはいえ、剛腕の実務家ぞろいのオバマ政権だ。日本の実情も知り尽くしていて、「同盟国」であっても言い訳はききそうにない。
ゲスト / Guest
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久保文明 / Fumiaki Kubo
東京大学大学院教授 / Professor of The University of Tokyo
研究テーマ:オバマのアメリカ
研究会回数:1