会見リポート
2006年01月16日
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吉川洋・東大大学院経済学研究科教授・経済財政諮問会議議員「経済見通し」3
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会見リポート
いざなぎ景気を抜くか
松田 陽三 (読売新聞編集委員)
日本を代表する経済学者による心強いご託宣である。ぜひ、そうなってもらいたい。
消費者物価指数が昨年11月にプラスに浮上したのに続き、国内総生産(GDP)デフレーターも、2006年度はプラス0・1%と、わずかながら上昇を見込む。いよいよデフレ脱却が現実のものとなってきた。
次の課題は、700兆円以上もの巨額の借金を抱える国の財政再建だ。
「戦争もしていないのに、こんなに債務残高比率が高いのは異常」との指摘は、万人が認めるところだろう。議論が分かれるのは、その先である。政府は基礎的財政収支を2011年に黒字にする方針だが、そのためには、毎年2・5兆円ずつ収支を改善しなければならない。増税が必要かどうか、経済財政諮問会議の民間議員という立場にある吉川教授は言及を避けたが、生半可な取り組みでは実現不可能なことは言うまでもない。
「人口が減少しても、労働生産性を高めていけば、日本経済は今後も年率2%程度の成長を続けられる」という明るい解説もあった。
「日本が絶対水準で貧しくなると思っている人がいるが、間違い。今の20歳の人は30年後に、現在の50歳の2倍の所得をもらっている」
将来が不安という若い人に聞かせたい言葉だ。
ゲスト / Guest
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吉川洋 / Hiroshi Yoshikawa
東大大学院経済学研究科教授・経済財政諮問会議議員 / Professor, Graduate School of Economics, The University of Tokyo
研究テーマ:経済見通し
研究会回数:3