2021年06月03日 13:00 〜 14:00 オンライン開催
「TOKYO2020+1」(1) 原田宗彦・大阪体育大学学長

会見メモ

コロナ禍での東京オリンピック・パラリンピックの開催には賛否ある。

開催する意義、開催の可否などについて議論を深める上で必要な視点は何か――。

「TOKYO2020+1」と題し、スポーツマネジメント、スポーツ社会学、スポーツ法などの専門家、元アスリートなどにシリーズで話を聞く。

初回ゲストとして、大阪体育大学学長の原田宗彦さんがリモートで登壇し、「開催可否とスポーツの未来」について話した。

原田さんは2026年愛知・名古屋アジア競技大会のビジョン策定を主導、札幌冬季五輪・パラリンピックの基本計画策定にも従事した。

司会 森田景史 日本記者クラブ企画委員(産経新聞)

 

(1)6月3日(木)13:00~14:00 原田宗彦・大阪体育大学学長

(2)6月8日(火)13:30~14:30 石坂友司・奈良女子大学准教授

(3)6月9日(水)16:30~17:30 松本泰介・早稲田大学准教授・博士

(4)6月14日(月)16:00~17:00 為末大・元陸上選手


会見リポート

「無観客、PV断念なら開催可能」/ワクチン接種に期待

名取 裕樹 (共同通信社特別編集委員)

 新型コロナウイルス禍の下での東京五輪・パラリンピックの開催可否を巡るシリーズ企画の第1回。スポーツマネジメント論の専門家で大阪体育大学学長の原田宗彦氏は、白黒つけにくいテーマだと断った上で、開催を望む立場から「無観客で、パブリックビューイングのようなリアルな祝祭空間を断念すれば可能だろう」との見解を示した。

 前日には、政府新型コロナ対策分科会の尾身茂会長から「今の状況でやるのは普通はない」などの発言があった。「今現在の時点ではそうかもしれない」と認めつつ、国内の議論で欠けている視点だと指摘したのが「ゲームチェンジャーとしてのワクチン」である。

 根拠としたのは、5月末に東大の仲田泰祐准教授らのグループが発表した五輪開催が及ぼす感染への影響の試算や、日本のワクチン接種者数の推移。「(五輪が開幕する)50日後に風景がかなり変わっているとの期待を持っている。世論調査もどう変わるか楽しみ」と述べた。

 これまでの世論調査を基にした報道については「五輪は無理だ無理だというムードが形成されている。科学的エビデンスではなく、空気だけで記事を書くのはどうなのか」と注文をつけた。とはいえ上限付きで観客を入れることは、世論の支持が得られないだろうと見る。

 「五輪は人類が発明した最強の平和維持装置」が持論だ。コロナ禍での開催で、家庭でのテレビ観戦しかできなくても「アスリートが集い、卓越したパフォーマンスを見せて、お互いをリスペクトして友情をはぐくむ」という五輪・パラリンピックの意義は損なわれないと主張した。

 1カ月後のワクチン接種率や医科学的知見、ましてや世論の風向きがどうなっているかは分からない。期待交じりの楽観論と断じることもできるだろう。それでも、葛藤を抱えつつ開催を願う側からの、率直で穏当な投げ掛けだと受け止めた。


ゲスト / Guest

  • 原田宗彦 / Munehiko Harada

    大阪体育大学学長 / President, Osaka University Health and Sport sciences

研究テーマ:TOKYO2020+1

研究会回数:1

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