会見リポート
2025年10月10日
14:30 〜 16:00
10階ホール
「トランプ2.0」(12) ジェームス・ギャノン「ピースウィンズ・アメリカ」代表、ジェイコブ・スレシンジャー 米日財団(USJF)代表理事
会見メモ
ピースウィンズ・アメリカのジェームス・ギャノン代表らが、アメリカの対外援助(USAIDなど)の停止措置を踏まえた今後の日米協力関係に関する報告書をまとめた。ギャノン代表と米日財団のジェイコブ・スレシンジャー代表理事が来日し、会見した。
写真左からギャノン代表、スレシンジャー代表理事
司会 大内佐紀 日本記者クラブ企画委員(読売新聞社)
通訳 西村好美 サイマル・インターナショナル
会見リポート
日本は開発分野で指導力を
清宮 涼 (朝日新聞社政治部)
米日財団とピースウィンズ・アメリカが発表した、第2次トランプ政権による世界最大の援助機関、米国際開発局(USAID)の解体の影響をめぐる報告書の提言が、本会見のテーマとなった。
米日財団のスレシンジャー代表理事は会見の冒頭で、「我々は非営利、超党派の団体で、トランプ政権を批判するためにここにいるのではない」と前置きした。そのうえで、世界中で混乱が起きており、なかでも対外援助の大幅な削減が最も劇的な変化だと述べた。ピースウィンズ・アメリカのギャノン代表は、米国の対外援助削減により、日本のNGOなどにも直接的、間接的影響があったと指摘。戦略環境にも影響し、中国がアジアなどで「米国による空白を埋めようとしている」と警鐘を鳴らした。一方でギャノン氏は、「どんな困難にも希望はある」と語り、日本への期待を示した。日本の政府開発援助(ODA)に対する国際的な期待が高まっており、日本が開発分野でリーダーシップを発揮すべきだと訴えた。スレシンジャー氏も、日米の開発協力を発展させるよう求めた。
現在、米国をはじめとした多くの国で内向き志向が強まり、対外援助は逆風にさらされている。日本も例外ではない。さらにトランプ政権が同盟国に防衛費増額を求めるなか、防衛力強化も日本の大きな政治課題となる。こうした状況のなか、スレシンジャー氏は日本が他国のように防衛費を増やすとしても、それを理由にODA予算を削減すべきではない、と強調した。
印象的だったのは、世界の対外援助が危機に直面している一方で、日本にとっては国際社会でリーダーシップを発揮する好機でもあるという、両氏からの提言だ。日本の今後の外交・安全保障政策を考える上での重要な示唆となるだろう。
ゲスト / Guest
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ジェームス・ギャノン / James Gannon
ピースウィンズ・アメリカ代表取締役社長 / the Chief Executive Officer, Peace Winds America
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ジェイコブ・スレシンジャー / Jacob M. Schlesinger
米日財団代表理事 / President and CEO, the United States-Japan Foundation(USJF))
研究テーマ:トランプ2.0
研究会回数:12
