2026年01月21日 15:00 〜 16:30 10階ホール
「人口減少時代を生きる」(6) 経済学から見た結婚行動の変化 八代尚宏・昭和女子大学特命教授、鈴木亘・学習院大学教授

会見メモ

労働経済学を専門とする八代尚宏氏、社会保障などを専門とする鈴木亘氏らは、25歳から49歳の独身・既婚の男女(計2万人)を対象に行ったアンケート調査をもとに、経済学的な手法を用い未婚化率上昇の要因を紐解き、少子化対策の在り方を検討。昨年末に『経済分析 第211号』(内閣府経済社会総合研究所)で公表した。

八代さん(写真左)と鈴木さんが登壇し、若者世代の結婚に対する考え方や、行動の実態を踏まえ、少子化対策に資する効果的な政策の在り方について話した。

 

司会 小林伸年 日本記者クラブ企画委員(時事通信社)


会見リポート

「最後の一押し」できる支援策は

伊藤 裕香子 (朝日新聞社論説副主幹)

 日本社会が抱える人口減と少子化の課題は、解消に向かうどころか深刻さを増す。25~49歳の独身・既婚の男女2万人への調査から、経済学の視点で結婚行動を分析した知見は、未来を形づくる政策の新たな方向性を示していると感じた。

 八代尚宏・昭和女子大学特命教授は、子育て支援や男性の育児休業の取得推進などの結婚を前提とした少子化対策は、「未婚化対策にならない」と語る。

 「二つの出生率」のグラフが、わかりやすい。夫婦の出生率は、合計特殊出生率を上回る1.9。人口の長期的な維持に必要とされる約2.1との差を考えると、日本では結婚しないことが少子化につながっているのではないか、とみる。

 鈴木亘・学習院大学教授は、結婚政策を考えようとすると伝統的に価値観論争となり、前に進んでこなかった背景を指摘。データに基づく政策立案の重要性に触れた。独身者への結婚支援策では、住居費支援の費用対効果が高いという。若い世代の住居費への不安は私もよく聞くが、結婚を決める「最後の一押し」という言葉が印象深かった。

 よりよい選択肢へと導く「ナッジ」、言い換えれば「おせっかい」が減ったことも、未婚率の上昇に影響しているという。親や周囲からの「同調圧力」が結婚を後押しする時代もあったが、いまや結婚はリスクととらえられ、20年前と風景は大きく変わったとしている。

 最後に、支援政策といっても過度な期待はすべきではなく、「迷っている人を導く程度」のナッジが求められている、との見解が示された。

 衆議院の解散直前の開催だったこともあり、中長期的な社会課題に取り組む政府の姿勢の大切さを改めて感じた。選挙後、政治は根本的な課題解消につながる議論に踏み出せるか、注視したい。


ゲスト / Guest

  • 八代尚宏 / Naohiro YASHIRO

    昭和女子大学特命教授

  • 鈴木亘 / Wataru SUZUKI

    学習院大学教授

研究テーマ:人口減少時代を生きる

研究会回数:6

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