会見リポート
2026年01月29日
14:30 〜 16:00
9階会見場
「人口減少時代を生きる」(7) 社会の基本設計(OS)をアップデートする 阿部守一・全国知事会会長
会見メモ
昨年9月から全国知事会長を務める阿部守一さんが「社会の基本設計(OS)をアップデートする」をテーマに登壇した。
「人口減少は地方が創意工夫、努力で対応できるものではない」と指摘。「一時的な逆風としてやり過ごそうとする対症療法ではなく人口減少を前提に、国家ビジョンそのものを転換する必要がある」と強調した。
司会 小林伸年 日本記者クラブ企画委員(時事通信社)
会見リポート
人口減対策「国家ビジョンを」
會田 野乃花 (時事通信社内政部)
人口減少という避けがたい現実にどう立ち向かうか。政府は2014年以降、「地方創生」を掲げて対策を講じてきたが、いまだ歯止めはかかっていない。昨年9月に全国知事会長に就任した阿部守一長野県知事は「人口減少は地方の創意工夫で何とかするレベルの問題ではない」と断言する。
小手先の対症療法的な政策では限界がある。必要なのは「価値観やパラダイムの転換を伴う長期的な国家ビジョン」だと強調し、政府や国会で本腰を入れて議論するよう求める。
長野県では24年末、県民と対話を重ね、将来を見据えた「信州未来共創戦略」を策定した。議論を通じて阿部氏が痛感したのは、自らが当たり前と考える社会と、若い世代が望む社会とのギャップだったという。だからこそ、若者の視点を取り入れ、国民的な議論を行う重要性を訴える。
同時に、「社会の基本設計」を見直すことも避けて通れない課題だと説く。国全体の政策構想力の強化、若者の政治参加の促進、外国人政策の在り方――。特に国と地方の役割分担を巡っては「国が負うべき責任はしっかり負い、地方がより責任を果たしていく分権型国家にしていくべきだ」との主張を展開する。
子育て政策にも言及した。市町村間の競争が過熱すれば、限られた人口の奪い合いになりかねない。こうした分野では「ナショナルスタンダード」で国が責任を持つべきだとする。一方、長野県が推進する自然保育「信州やまほいく」を例示。「地方は都市部ではできない取り組みを行う必要がある」と述べ、地方分権の意義を強調した。
阿部氏は最後、「今まで当たり前だったことを見直す時代にきている」と語った。未来を生きる世代とともに長期ビジョンを描けるか、政治の覚悟が問われている。
ゲスト / Guest
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阿部守一 / Shuichi ABE
全国知事会会長 / Chairman of National Governors' Association
研究テーマ:人口減少時代を生きる
研究会回数:7
