2025年10月21日 14:00 〜 15:30 9階会見場
「人口減少時代を生きる」(2) 梅屋真一郎・野村総合研究所 未来創発センター フェロー

会見メモ

野村総研未来創発センターフェローの梅屋真一郎さんが、「2100年の日本のための『プランB』と題して会見。人口に左右されない社会づくりを目指していく上で、必要な視点や取り組みなどについて話した。『プランB』の中身として、「全世代型プラス5歳社会の実現」、「自律分散型インフラによる社会インフラ変革」という2つの指標にも言及。それらの達成状況が、人手不足や社会インフラの維持といった、将来的な地方の課題解決につながる鍵となり、日本が人口減少に伴う諸課題対策の先手を打つ先進国として、国際的にも立場を示していけるのではないかと考えを述べた。

 

司会 小林伸年 日本記者クラブ企画委員 (時事通信社)


会見リポート

人が減っても幸福な社会

一言 剛之 (読売新聞社経済部)

 2024年の合計特殊出生率が1.15まで低下した。国立社会保障・人口問題研究所が低位推計として示した「2100年の人口5100万人」さえ割り込むペースで少子化が進んでいる。急激な人口減は、社会保障負担の増大や労働力不足、社会インフラの維持負担増、日本の国際的な地位の低下などにつながる見込みで、野村総合研究所の梅屋氏は「諸課題の解決が必要不可欠だ」と指摘する。

 人口減は特に地方で急激に進み、4大都市圏以外での2100年の人口は2020年の約3割に落ち込む可能性があるという。教育や医療、介護、公共交通、電気、ガス、上下水道などのサービスを支える地方公務員は2090年には半減する見通しで、秋田県では6分の1以下になるとの推計も紹介された。

 梅屋氏は、こうした問題に対処するには、今後の大幅な出生増を期待するのではなく、「プランB」が必要だとして「全世代型プラス5歳社会」「自律分散型の社会インフラ変革」を提案する。

 平均寿命は延び続けており、「あと5年働きたい」と考えている高齢者は多い。長く働くことが正当に報われる環境整備を通じ、高齢者に活躍してもらうことで、担い手不足や負担増の問題は解決が可能になる。自動運転や遠隔通信技術などを社会インフラに活用することで、大規模なインフラ投資をしなくてもコンパクトシティを維持できるようになる。「人が減っても、そこで幸せな生活を送ることは十分可能だ」との見方が示された。

 質疑応答では、今後高齢化が進むアジア諸国との連携について問われ、「日本で課題解決に取り組んだ経験を共有する場をつくることが重要だ」として、東南アジア諸国連合(ASEAN)などとの協力の枠組みができることに期待を示していた。


ゲスト / Guest

  • 梅屋真一郎 / Shinichiro UMEYA

    野村総合研究所 未来創発センター フェロー

研究テーマ:人口減少時代を生きる

研究会回数:2

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