会見リポート
2025年10月09日
14:00 〜 15:30
9階会見場
「人口減少時代を生きる」(1) 石川智久・日本総合研究所 調査部長
会見メモ
人口減少に自治体、地域社会や企業はどう向き合い、対応していくのか。様々な分野、角度からゲストを招き、シリーズで考える。
第1回は、人口減少対策の柱の一つとされる外国人政策について、石川智久・日本総研調査部長が会見。
欧米、欧州などの主要国では移民が増加する中でスキルなどによる選別が進んでいる一方、日本では高度人材の活用が限定的であることを指摘したほか、外国人の日本社会への包摂を図るうえで方向性、司令塔、統計の「3つの不在」を解消が重要になるとの見方を示した。
司会 小林伸年 日本記者クラブ企画委員 (時事通信社)
会見リポート
「多文化共生庁」の創設を
小林 伸年 (シリーズ担当企画委員 時事通信社解説委員)
人口減少を巡る政策は「いかに歯止めを掛けるか」から「減ることを前提にどうやって豊かな社会をつくるか」に論点が移った。そこで当クラブは様々な分野の専門家を招いて「じゃあどうする?」を考えるシリーズ企画「人口減少時代を生きる」を始めた。
初回は、先の参院選でにわかにクローズアップされた外国人政策をテーマに日本総研の石川智久調査部長から話を聴いた。
「外国人抜きでは仕事が回らない」―。石川氏が地方に行くと、どこの経営者も同じことを言うという。それだけ人手不足は深刻だ。実際、2024年に全国で迎え入れた外国人は33万人超(純流入数)と当初予想の倍だった。
人口減少が進むわが国で外国人労働力は不可欠だ。にもかかわらず、外国人受け入れに関する本格的な政策論議は行われていない。
石川氏はその理由として①方向性②司令塔③統計―の3つの不在を挙げた。政府が移民政策を否定しているため一貫した方針がなく、各省横断的な取り組みは行われていない。政策立案しようにも外国人に関する統計が不十分だ。石川氏は司令塔となる多文化共生庁(仮称)の創設を提案した。
排外主義が高まる中、「移民」という言葉を使ったとたん、猛反発に遭い、議論にならないことが多い。しかし、日本は既に多くの外国人を受け入れており、引き続き彼らの手を借りなければ社会が成り立たない。
問題は、外国人が都合の良い単なる労働力ではないということだ。生身の人間である。どんな人をどのくらい受け入れるのか、どうやって日本社会になじんでもらうか、総合的な政策が必要だ。そのためには冷静に議論できる環境が欠かせない。メディアの果たす役割は大きい。そう肝に銘じた。
ゲスト / Guest
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石川智久 / Tomohisa ISHIKAWA
日本総合研究所 調査部長/チーフエコノミスト / The Japan Reserch Institute
研究テーマ:人口減少時代を生きる
研究会回数:1
