2003年07月11日 00:00 〜 00:00 10階ホール
アブドラ・バダウィ・マレーシア副首相

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会見リポート

次期首相としてのかじ取りは?

山田 厚史 (朝日新聞経済部兼アエラ編集部)

 「マレーシアの成功は国の団結を大事にし、一貫した政策を長期にわたって実施してきたことだ」

 10月からマレーシア首相になる。お披露目を兼ね主要閣僚を連れて日本を訪れた。「マハティール路線の継承」と「国の団結」を強調した。21年間統治した現首相の存在はあまりにも大きい。相手が米国だろうと、言うべきことは遠慮なくビシビシ発言する姿は小気味良かったが、その脇で内政に目配りしたのが「誠実で地味」なアブドラ氏だった。

 人口2100万人、マレー人が主体だが、中国人、インド人などが入り交じる人種複合国家、イスラム原理主義者も少なくない回教国で、国民をまとめて進むことは容易ではない。

 マハティールと反りが合わず、失脚させられたアンワル元副首相を支持する勢力はいまなお根強い。雇用や進学でマレー人を優遇する政策への反発も広がっている。

 「ルック・イースト」を合言葉に工業化を成功させたマレーシアは、次の目標をどこに置くのか。

 「国益や政策はそれぞれの国によって違う。独立国なのだから、意見を言う権利を持っている」

 米国のイラク侵攻に反対した理由を問われ、きっぱり答えた。

 国は小さくても、誇りと独立心は旺盛だ。だが民族意識を鼓舞すれば原理主義に火がつき、妥協に回れば求心力は弱まる。路線継承を掲げながらマハティール後をどう描くか。かじ取りは容易ではない。

「日本記者クラブ会報」2003年8月号2ページから

 


ゲスト / Guest

  • アブドラ・バダウィ / ABDULLAH Haji Ahmad Badawi

    副首相 / Deputy Prime Minister

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