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原発事故の罪深さ実感(テレビ朝日 神保修麻)2018年2月

福島第一原発を取り囲む中間貯蔵施設の広大な敷地。1600㌶、東京ドーム342個分。「中間貯蔵は必ず必要。施設が必要」と皆分かっているが、土地を追われる住民の身になればそう簡単ではない。用地買収は困難を極めた。高線量地域にあるため外に持ち出せず、1個1個全て国が買い取ることになる。「これは俺が作った」ドア1枚、ブロックの石、庭木1本まで住民の思いが詰まっている。現在、1100㌶の用地は確保したという。

 

3年前から除染作業で出た汚染土などの運び込みは始まっていて、この日もひっきりなしにダンプカーが走る。しかし、この施設は「中間」であって「最終」ではない。最長で30年間保管するだけ。「最終貯蔵施設」はいつ、どこに作られるのか。先送りにされた決断は、誰が、どうやって下すのだろうか。原発事故の罪深さを改めて感じさせられた。

 

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