ベテランジャーナリストによるエッセー、日本記者クラブ主催の取材団報告などを掲載しています。


東京電力福島第一原発取材団(2018年2月) の記事一覧に戻る

「静」と「動」、異様な光景(南日本新聞社 赤間早也香)2018年2月

初めて帰還困難区域内に入った。バリケードで封鎖された街の中では、家や墓地がひっそりと残る傍ら、汚染土を搬入する中間貯蔵施設の運用が始まっていた。その「静」と「動」が対照的で異様な光景だった。

 

避難指示が解除されて1年近くたった街では、家屋の解体が進んでさら地が目立った。住民の帰還は芳しくない。「10人いれば10通りの考えがある。元の街には戻らない」。住民の言葉から、7年の歳月の長さを感じた。一方、事業を再開した漁業者や米作りに挑む若者たちに触れ、人間のたくましさも教わった。

 

福島から一番遠い原発立地県の鹿児島では、残念ながら事故の風化と原発問題への関心低下が進む。被災地を訪ねるたびに原発事故のむごさを感じる。「もし同じような事故が起きたら…」と不安も募る。今回見聞きしたことも糧に発信を続けたい。

 

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