2024年02月06日 13:30 〜 15:00 9階会見場
「<政治とカネ>を問う」(3) 牧原出・東京大学教授

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会見リポート

新たな統治構造改革が必要

山田 惠資 (時事通信社解説委員)

 「今回の問題がリクルート事件と違うのは、個人の問題ではなく党組織、派閥の責任であることだ」。現在、政界を大きく揺るがしている「政治とカネ」問題について記者会見の冒頭にこう切り出し、さらに「岸田文雄首相はリーダーシップを発揮するとは言うけれど、結果責任を取るとは一切言わない。これまでもそうだったが、それでは自民党の改革が進むとは思えない」と断じた。

 今後の改革はどうあるべきか。政治学者として提唱するのは新たな統治構造改革の必要性だ。振り返って日本は過去2回の統治構造改革を経験している。第1期は1990年代から2001年だ。この間に政治改革、地方分権改革、省庁再編、司法制度改革などが行われた。第2期は福田政権が発足した07年以降で、公文書改革や消費者庁設置が実現。民主党政権時代には政治主導の一貫として事務次官会議が廃止され、09年の第2次安倍政権発足後も受け継がれた。

 ただ、「これらは予測不能の政権交代によってもたらされた。政権交代を前提にしたものでなく、取りあえずの弥縫(びほう)策だった」と指摘。「今後は、長期安定の与党自民党を所与のものとしない、政権交代を前提にした第3次統治機構改革が必要となっている」と述べた。

 現在、政治資金と派閥の問題がクローズアップされていることを踏まえ、与野党それぞれに求められる統治機構の在り方にも言及。「与党は長期にわたって野党に転落したときを見越した党ガバナンスが必要だ。野党は与党になった時に現在の政治資金で足りるのか。 大規模な寄付を認める政治文化も醸成されなければならない」と語った。

 前提となるのは「徹底した透明化」だ。一方で「派閥には政策研鑚と人材育成の教育効果があることはもっとアピールすべきだ」と話し、派閥解消論には否定的な考えを示した。


ゲスト / Guest

  • 牧原出 / Izuru MAKIHARA

    日本 / Japan

    東京大学先端科学技術研究センター教授 / professor, Research Center for Advanced Science and Technology, Tokyo University

研究テーマ:<政治とカネ>を問う

研究会回数:3

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