2022年10月27日 11:00 〜 12:00 10階ホール
マルチン・プシダッチ・ポーランド外務副大臣 会見

会見メモ

10月26日に来日したポーランドのマルチン・プシダッチ外務副大臣が登壇し、ウクライナ戦争やアジアへの影響などについて話した。

プシダッチ外務副大臣は、安全保障やアメリカ、アジア、東方政策を担当している。

 

司会 杉田弘毅 日本記者クラブ企画委員(共同通信)

通訳 大野理恵 (サイマル・インターナショナル)


会見リポート

「ウクライナへの支援、効果ある」

佐藤 友紀 (読売新聞社国際部)

 ポーランドの安全保障を担当し、キーウにも3度訪問したマルチン・プシダッチ外務副大臣が、ロシアのウクライナ侵略について会見した。プシダッチ氏はウクライナ侵略について、「国土の強奪であり、純粋に犯罪」と断言。その上で、「万が一モスクワ(の試み)が成功すれば、そのほかの修正主義的な気持ちを持った国々が同じように国際秩序に挑戦しようという誘惑にかれる」と指摘した。またプシダッチ氏は停戦合意について、「ロシアが完全にウクライナ領土から撤退しない形での停戦合意では平和は続かない。欧米はミンスク合意など交渉で平和回復を目指したが、プーチンはそれこそが西側の弱さと見なした。同じ間違いを繰り返してはいけない」と主張した。

 プシダッチ氏は戦況について、「ロシアは直近戦場ほぼ全ての戦線で後退している。9月初め以降ウクライナが主導権を握っており、12000平方キロ以上を解放できている。ウクライナに支援を提供することは効果がある」とし、ポーランドも2月以降、30億米ドル相当の軍事支援を行っていると説明した。一方で「周辺国はそれほどウクライナに支援ができていない」と指摘し、特にドイツについては「ロシア産エネルギー資源への依存を強くし、その収益がロシアの武器弾薬になっている。欧州最大の経済大国であるドイツは、もっとウクライナに支援すべき」と話した。

 プシダッチ氏は、アジア太平洋地域については「アジア地域の一部国家は近隣諸国に何かすることについて慎重に考えるようになるのでは。アジアの国々は防衛力を高めることが重要。地域安全保障システムを強化する際、日本がその役割を示したいという意志を示せば重要な役割を担える」とした。また中国についての質問が挙がると、「ロシアの行為で一帯一路という中国の国益は損なわれている」とも指摘した。


ゲスト / Guest

  • マルチン・プシダッチ / Marcin Przydacz

    ポーランド / Poland

    ポーランド外務副大臣 / Deputy Foreign Minister

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