2022年04月01日 10:30 〜 11:30 10階ホール
セルギー・コルスンスキー駐日ウクライナ大使 会見

会見メモ

ロシアが軍事侵攻を始めてから36日目に、セルギー・コルスンスキー駐日ウクライナ大使が登壇、現地の状況などについて話した。

 

司会 出川展恒 日本記者クラブ企画委員(NHK)

通訳 西村好美(サイマルインターナショナル)


会見リポート

日本の支援に感謝/「私たちは勝ちます」

大木 俊治 (毎日新聞社記事審査委員)

 日本記者クラブでの3回目の記者会見がこういう状況で行われるとは不本意だっただろう。前回の記者会見(2月9日)時点では、多くの専門家がロシアの軍事侵攻はないと考えていた。その「まさか」の侵攻から1カ月余り。多忙の中、貴重な時間を割いての会見では、地図を指し示しながら戦争の状況を丁寧に説明してくれた。「私の家はここ」とキエフ市の北部を指し、「戦闘地域まで20㌔です。住宅と学校、幼稚園しかない近郊の町が戦場になり、完全に破壊されました」。信じたくないと言いたげな表情だった。

 戦闘で死亡したロシア兵が身に着けていたという、民家から略奪したとみられる大量の宝石類や米ドル紙幣の写真、3人のロシア兵が16歳の少女をレイプしたとの報道を紹介し、「彼らは兵士ではありません。人間の尊厳への敬意もない」と蛮行を非難した。淡々とした語り口ながら収まらない憤りを感じさせた。

 また日本の政府や国民への感謝を繰り返し述べ、会場からの質問に答える形で「50億円以上の義援金が寄せられました。ウクライナ外務省の指示で既に半分以上は(多くの難民の避難先となっている)ウクライナ周辺国に送りました」と丁寧に説明した。以前、日本に義勇兵の派遣を求めたことについては「誤解がありました。今は完全に(ホームページから)削除しました」と釈明した。真摯な回答には好感が持てた。

 最後に「私たちは勝ちます。私たちはこの戦争に勝ちます」と繰り返した。開戦時の軍事力比較評価では圧倒的に劣勢とみられていたウクライナだが、3月末には逆転攻勢に出たと報じられた。そのせいか、大使の「勝利宣言」には自信と誇りがみなぎっていた。

 後の予定があるとのことで、会見時間が通訳も含めて1時間と限りがあったのは残念だった。機会を改めて、また意見をきいてみたい。


ゲスト / Guest

  • セルギー・コルスンスキー / Sergiy Korsunsky

    ウクライナ / Ukraine

    駐日ウクライナ大使 / Ambassador of Ukraine to Japan

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