会見リポート
2019年04月10日
11:00 〜 12:00
10階ホール
玉城デニー・沖縄県知事 会見
会見メモ
司会 川上高志 日本記者クラブ企画委員(共同通信)
会見リポート
届かぬ民意 「対話」継続を強調
木村 司 (朝日新聞社会部)
就任半年となった玉城デニー沖縄県知事が会見した。2日後には、普天間飛行場の返還合意(1996年4月12日)から23年を迎えるタイミングでもあった。
返還も、辺野古移設も、展望が見えない中、玉城氏は、日米政府に沖縄県を加えた新たな枠組みを作り、計画を再検証するよう求めている。辺野古移設「反対」の民意が示された県民投票の結果を受けた対応だ。
会見直前にも、菅義偉官房長官に新たな枠組みを申し入れてきたが、「特に必要はない」。政府のゼロ回答は、この半年を象徴するようだった。
引き続き求めるのかとの会見での質問には、2度の知事選、県民投票を引き合いに「民主主義の手続きに基づき、県民は『反対』と示してきた。(この国が)民主主義、法治国家を標榜するなら、三者協議を開くことは当然だ」と応じた。
就任直後から打ち出し、この日の会見でも強調したのが「対話」を求める姿勢だった。1時間の会見で20回ほど言及。「政府が一切対話を拒んでいる。それでも対話を訴える知事の理念とは」との質問も出た。
「あらゆる問題解決には、当事者双方が真摯に話し合いをすることが大原則」。玉城氏はそう即答したうえで「その大原則において、欠落している部分はどこか。参加を拒まれているのは誰なのか」と訴えた。外交安保が国の専管事項だとして、影響を受ける地元自治体もまた当事者である、との問いかけだった。
政府の「軟化」を引き出すには至っていない玉城氏だが、地元では新たな動きが生まれている。県民投票の過程で、賛否の立場を超えて議論する10代、20代の若者たちの姿があった。知事の姿勢が影響したかはともかく、玉城氏が背中を押されているのは間違いない。会見ではこう語った。「これは紛れもない、民主主義の実践だ。特に大人は勇気づけられたと思う。若い人たちの気持ちに真摯に応えていきたい」
ゲスト / Guest
-
玉城デニー / Denny Tamaki
沖縄県知事 / Okinawa Governor