2019年05月10日 13:30 〜 15:00 10階ホール
「世論調査と報道」(4) 統一地方選の結果と参院選の展望 河村和徳・東北大学大学院准教授

会見メモ

4月の統一地方選は、地方の衰退、旧態依然の体質などを反映し立候補者不足、無投票当選が目立ったと指摘、地方選制度見直しを訴えた。

大阪府クロス選挙は「争点は都構想ではなく、維新による行政の業績評価。景気が良くなったことが評価された」と分析した。

河村氏HP
東北大学教員紹介ページ

 


会見リポート

地方選にこそ「政党政治」を

山田 恵資 (企画委員 時事通信解説委員長)

 河村氏が本格的に政治学者の道を歩み始めた1990年代の初頭、中央政界は「政治とカネ」の問題で激しく揺れていた。93年に非自民連立政権発足で「55年体制」は崩壊し、翌年には衆院小選挙区比例代表並立制と政党交付金の導入を柱とする政治改革関連法が成立。国政選挙は大きく様変わりしたが、地方選挙の制度は手つかずのままだった。

 これについて河村氏は記者会見で、「当時は誰も地方選挙に関心を持っていなかった」と前置きした上で、「地方選では、『地盤(組織)、看板(知名度)、カバン(資金力)』の3つがなければ立候補できない状況が今日まで続いている。それが候補者のなり手不足を生み、無投票当選が増加した」と分析した。

 4月に実施された41道府県議選(総定数2277)では、立候補者が過去最少の3062人。このうち無投票当選は前回(2015年)比111人増の612人で過去最多に達した。選挙区数で見ると、無投票は全945選挙区のうち371選挙区に上った。

 河村氏はこうした状況の背景として、選挙資金面の問題の他に、小選挙区導入による国会議員側の事情の変化にも着目する。「自民党内の派閥争いが盛んだった中選挙区制時代、国会議員は地元の支持基盤固めのため、地元秘書らを擁立して、系列議員を増やそうとした。しかし、小選挙区制導入で派閥争いがなくなり、地方選挙に無理して候補者を送り込む必要がなくなった」

 一方、各党が国政選、地方選で実施する候補の公募制については「選定時間が短く、政党への忠誠心を見極めにくい。禁じ手だ」と断じた。

 では、候補者のなり手不足に有効な手立てはないのか。この疑問に対して河村氏は「地方選挙に政党政治の環境を作って、政党の候補者擁立能力を高めるべきだ」と語った。逆説的に聞こえるが、無投票当選の拡大は政治全体の劣化をもたらしかねないだけに、むしろ本質的な提案であると受け止めた。 


ゲスト / Guest

  • 河村和徳 / Kazunori Kawamura

    東北大学大学院准教授 / associate professor, Graduate school, Tohoku University

研究テーマ:世論調査と報道

研究会回数:4

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