2019年04月09日 14:00 〜 15:30 10階ホール
会見「夫婦間の子どもの『連れ去り』を巡る問題」

会見メモ

写真左から小田切紀子、上野晃、串田誠一、トッマーソ・ペリーナ、ヴィンセント・フィショの各氏

 

司会 瀬口晴義 日本記者クラブ企画委員(中日新聞)

 

 


会見リポート

会えない悲痛 法制度の課題訴え

加藤 園子 (産経新聞社社会部)

 一方の親が、相手親に無断で子供と家を出る「連れ去り」問題。子供を連れ去られたという当事者らは、連れ去りをあえて「拉致」「誘拐」と言い換えながら、日本の法制度やその運用などを批判した。

 体験を語ったのは、2人の子がいるフランス人の男性。ある日「家に帰ったら空っぽだった」と言い、妻の代理人から金銭に関する通知が届いた。裁判所は、子供は新しい暮らしに落ち着いたとして、現状の生活環境を維持させる「継続性の原則」を尊重し、男性は今も家族に会えていないと言う。イタリア人男性も子供に2年半会えていないと言い、現状を「理解できない」と嘆いた。

 心理学博士の小田切氏いわく、片親との別れは自己肯定感の喪失など、子供の心身にも影響を及ぼすという。

 なぜ連れ去りが生じるのか。衆院議員の串田氏は、民法が定める「単独親権」が背景にあると指摘。単独親権では離婚後、一方の親のみに子供の親権が帰属する。このため、連れ去ることで子供との生活実績をつくり、同時に虚偽のDV被害を申告するなどして相手親が親権者にふさわしくないと主張することで、親権の〝争奪戦〟を有利に運べる状況になっているという。串田氏は、こうした親権争いを避けるため、海外が採用する「共同親権」の必要性を訴えた。

 一方、弁護士の上野氏は制度の運用面に問題があるとする。日本は子供が両親から分離されないことなどを規定した「子どもの権利条約」に批准している。上野氏は、連れ去りは条約違反との見解を示し、裁判所は継続の原則よりむしろ条約を重視すべきだと主張した。また裁判所の判断が見直されるよう「日本人の意識を変えるべきだ」とも語った。

 問題は、夫婦が日本人同士の場合でも起こり得る。会場からは熱の込もった質問や切実な意見が相次ぎ、関心の高さをうかがわせた。


ゲスト / Guest

  • 上野晃 / Akira Ueno

    日本 / Japan

    弁護士 / attorney-at-law

  • 小田切紀子 / Noriko Odagiri

    日本 / Japan

    心理学博士、東京国際大学教授 / psychologist, professor, Tokyo International University

  • 串田誠一 / Seiichi Kushida

    日本 / Japan

    衆議院議員 / member of the House of Representatives

  • ヴィンセント・フィショ / Vincent Fichot

    フランス / France

    / a French father

  • トッマーソ・ペリーナ / Tommaso Perina

    イタリア / Italy

    / an Italian father

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