2019年03月28日 16:00 〜 17:30 10階ホール
ガルージン駐日ロシア大使 会見

会見メモ

就任後、初となる日本記者クラブでの会見。昨年11月の日ロ首脳会談での合意を受け、交渉が進められる平和条約に質問が集中した。交渉の基礎とされる1964年の日ソ共同宣言については「文書全体をみて履行する必要がある」と強調。色丹島、歯舞諸島の返還が明記されたことは「ソ連、ロシア側の善意の行為」とした。

 

司会 川村晃司 日本記者クラブ企画委員(テレビ朝日)


会見リポート

領土交渉長期化は不可避

遠藤 良介 (産経新聞社論説委員)

 堪能な日本語による柔和な語り口とは裏腹に、日本の対露外交が置かれた厳しい現実を突きつける記者会見となった。同時に、北方領土問題に関するプーチン露政権の思考回路が鮮明に分かる内容だった。

 安倍晋三首相とプーチン露大統領は昨年11月、日ソ共同宣言(1956年)を基礎に平和条約締結交渉を加速させる、と合意した。同宣言の第9項には「平和条約の締結後に色丹島と歯舞群島を引き渡す」とあるため、日本側では2島返還への期待が高まった。

 しかし、それに対してロシアは「共同宣言=2島返還ではない」との「ゼロ回答」で応じている。ガルージン大使は「日ソ共同宣言を基礎にするならば、文書全体を履行する必要がある」と述べ、ロシアの主張を敷衍した。

 大使が持ち出したのは、例えば、クリミア併合などを受けて日本が欧米とともに発動した対露制裁である。大使は、これが「日ソ共同宣言に記された友好善隣関係の精神に合致しない」と述べた。

 およそロシアが「非友好的」と考える状況がある限り、北方領土交渉はできない。その可能性を示唆した発言だと受けとれる。

 プーチン政権は共同宣言第9項について、色丹、歯舞の「主権の引き渡し」とは書かれていないと主張している。ガルージン大使も、2島引き渡しは「善意」の問題だとの認識を示した。

 大使は、交渉進展の条件として次の3点を挙げた。①第2次世界大戦の結果、北方領土の主権はロシアにあると日本が認めること②日米安保に関するロシアの懸念を解消すること③日露関係が全般的に発展すること。

 ③の立場を反映するかのように、大使は会見の冒頭から約55分間、領土問題には全く触れず、経済や国際問題に時間を費やした。領土交渉の長期化は不可避である。


ゲスト / Guest

  • ミハイル・ガルージン / Mikhail Galuzin

    ロシア連邦 / Russian Federation

    駐日大使 / Ambassador

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