会見リポート
2019年02月06日
13:30 〜 15:00
10階ホール
「イスラム革命40年 イランの内憂外患」駒野欽一・元駐イラン大使/田中浩一郎・慶應義塾大学教授
会見メモ
司会 出川展恒 日本記者クラブ企画委員(NHK)
会見リポート
容易でない「ハメネイ後」
及川 仁 (共同通信編集局次長)
世界を震撼させたイラン革命から2月11日で40年。イランを革命以前から熟知する元ベテラン外交官と現代イラン研究の第一人者が、これまでのイランとこれからのイランについて忌憚のない意見を披露した。
「よく持ったなあ…」。2010年から12年まで大使を務めるなどイランで3度勤務した駒野欽一氏は会見冒頭、感慨深げにこの40年間を振り返った。
駒野氏はシャー(国王)体制下でまん延した腐敗、格差拡大に国民全体の不満が極限まで高まり「共産主義者も宗教界、知識人階級も、国民全体がシャー体制打倒で一致していた」と述べ、その意味で「イスラム革命ではなくイラン革命だった」と指摘。米大使館占拠事件やイラン・イラク戦争などの〝国難〟を通じて国内の結束が固まったことでホメイニ、ハメネイ両師の歴代最高指導者がイスラム体制を維持してきたとの見方を示した。
慶応大の田中浩一郎教授も同様に、紆余曲折を経ながらも、これまでの40年間で権益を築いてきた層が広がり、国民の多くにとってこの体制を倒す積極的な動機が薄れていると現状を分析した。
一方で、現体制の抱える課題については革命時より人口が倍以上に増加し、産油量や原油輸出量が落ち込む中「米国とだけでなく、欧州諸国とも距離ができてしまっている」などとイランの内憂外患を挙げ、まもなく80歳となるハメネイ師の後に続く体制の維持が容易でないことを予測した。
米国、イスラエルとの本格的衝突が現実味を帯び始めている中、今後のイラン情勢からますます目が離せない。改めて実感した両氏の記者会見だった。
ゲスト / Guest
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駒野欽一 / Kinichi Komano
日本 / Japan
元駐イラン大使 / former Ambassador of Japan to Iran
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田中浩一郎 / Koichiro Tanaka
日本 / Japan
慶應義塾大学教授 / professor, Keio University
研究テーマ:イスラム革命40年 イランの内憂外患