2018年07月18日 14:00 〜 15:30 10階ホール
「2期目の習体制」(6) ジュリオ・プリエセ・ロンドン大学キングスカレッジ戦争学部講師

会見メモ

2期目の習体制 (6)

専門の国際関係論から見た日中関係を、政治、外交、軍事、経済、対外発信の分野から分析した。対中外交は、安倍首相がリーダーシップを発揮し、現実にそくした対応をとってきていると評価。対外発信面では、日本は言葉と態度が一致しており、中国と比べ、信頼性は高いが、今後は量より質を重視する方向に変えていくべきだと提言した。

 

司会 杉田弘毅 日本記者クラブ企画委員(共同通信)

通訳 森岡幹予


会見リポート

第3国からみた日中“宣伝戦”

 ロンドン大学キングスカレッジ講師のジュリオ・プリエセ氏が、「第3国からみた日中関係」について話した。

 最も時間をかけて語ったのが、日中の広報=プロパガンダ戦略、いわゆる“宣伝戦”についての比較だ。

 プリエセ氏は安倍政権発足以降、日本の広報戦略が大きく変わったと述べた。具体的には、単に「日本の良さ」をアピールする方法から、「特定の国」をターゲットにしたネガティブキャンペーンも含まれるようになったという。「特定の国」とは、名指しこそしないが、もちろん中国である。

 その傾向が顕著に表れたのは、2013年末に安倍総理が靖国神社を参拝したときだ。当時中国に赴任していた私はよく覚えているが、参拝を受けて、駐英中国大使をはじめ、世界中の中国大使が一斉に、日本批判の論評を発表した。中国メディアも批判の大合唱を行った。そこまでは「想定通り」だったが、意外だったのは、中国の攻撃に対して、日本が自国の大使を使って「反撃」に出たことだった。

 中国が日本を「歴史を直視しない」と批判すれば、日本は中国を「法の支配に反する」と批判する。面白かったのは、この一連のやり取りは第3国のプリエセ氏からみた場合、ともに相手を批判する「五十歩百歩」の戦略にみえたということだ。

 プリエセ氏は、日本の姿勢の変化こそ、安倍総理の強いリーダーシップのもと、谷内正太郎氏を旗頭に、「官邸外交」が展開されていることの証左だとする。しかし相手の土俵に乗ることが得策なのかどうかは、熟慮が必要だろう。

 「宣伝戦で、日本は中国に勝てるのか」という聴衆からの問いに対して、プリエセ氏は「テーマによる」と即答した。慰安婦問題では日本に対する欧米からの嫌悪感が強く、勝ち目はないが、南シナ海問題では逆に中国は信用されておらず、日本に分があるという。

 また、今後の日本の広報戦略について、プリエセ氏は「質を高めること」が重要だと述べた。シンクタンクにお金を配って相手の悪口を寄稿させるやり方は、発覚した時のダメージが大きい稚拙なやり方だ。トランプ政権の誕生で、日中関係を取り巻く環境が激変している今こそ、中国に対して、批判一辺倒ではない「新機軸の広報戦略」が求められていると、会見を聞いて思った。


テレビ朝日外報部  冨坂 範明

ゲスト / Guest

  • ジュリオ・プリエセ / Giulio Pugliese

    ロンドン大学キングス・カレッジ / King's College London

    講師 / Lecturer

研究テーマ:2期目の習体制

研究会回数:6

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