2017年08月31日 16:30 〜 17:30 10階ホール
福田康夫 元首相 会見

会見メモ

日中交流促進実行委員会最高顧問を務める。日中国交正常化45周年を迎えた日中関係を中心に語った。「習近平氏は日本を小さな存在とは見ていない。日本が敵対的な行動をしない限り、日本との関係を重視していくだろう」と強調。緊張が高まる北朝鮮情勢については「中国と話をしていかないと解決の道はない」「米国と中国が話し合うために日本が働きかけるべきだ」と訴えた。恒例のゲストブックへの揮ごうは「中庸」と。

 

司会 橋本五郎 日本記者クラブ企画委員(読売新聞)


会見リポート

中国の立場知り、時間をかけて

土谷 英夫 (日本経済新聞出身)

ミサイルが日本を飛び越えた今だから、ハトの話が聞きたい。ベテラン会員が多く顔を見せ盛況だった。元首相は、かつて北朝鮮との関係改善を探り、中国への理解も深い。

 

北朝鮮、靖国、公文書保存と質疑応答は多岐にわたったが、中心は国交正常化45周年の中国との関係。

 

首相時代、「日中関係は、きわめて良かった。あんな良い頃はなかったんじゃないか」と振り返る。

 

「良い状況はだれがつくったか。(第1次政権の)安倍さんがやったんですよ。安倍さんが、胡錦濤と首脳会談をして戦略的互恵関係でいこうと」。現職の功をあげたのは、尖閣問題で暗転し、「すっきりしない状況」が続く日中関係の打開に期待を込めたエールだろう。

 

「相手の立場を理解する」ことと「時間をかける」ことの大切さを繰り返した。14億人の国民をまとめあげ統治するのは並大抵ではない。共産党体制で、自分が悪いと思っても、口にできない国柄もある。南シナ海問題にしても、そこを理解し、あきらめず、時間をかけて、説得にも工夫が要る、と強調した。

 

習近平主席とは7回会っている。「彼は、私が見る限りでは話していて真実味がある」との評価。「よくものごとを考えている人。間違ったことはしたくない、という気持ちも強い」とも。

 

こんなエピソードを明かした。就任直後に会った際、雑談の中で習氏が「国有企業を民営化したい。やるには民間に腐敗が拡散しないよう腐敗防止が肝要で、法治を実現したい」という趣旨を述べたという。

 

実現していないが「本心だろうと思う」。2期目にそうした難問を手がけるという見立て。そのために、リーダーシップを明確にする必要があり、言論統制にも一定の理解を示す。

 

理解しすぎ、との批判もあろう。中国を相手に、理解とけじめのサジ加減が難しい。


ゲスト / Guest

  • 福田康夫 / Yasuo Fukuda

    日本 / Japan

    元首相 / The former Prime Minister

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