会見リポート
2017年05月30日
14:00 〜 16:00
会見場・レストラン
2017年度日本記者クラブ賞・同特別賞受賞記念講演会
会見メモ
写真左から、松尾文夫氏(クラブ賞:ジャーナリスト・共同通信出身)、宮城克文氏(特別賞:チューリップテレビ報道制作局デスク)、森重昭氏(特別賞:歴史研究家)
日本記者クラブ賞の紹介と贈賞理由はこちら
会見リポート
記者精神を熱く 調査報道の思いも熱く
橋詰 悦荘 (時事通信社編集局次長)
オバマ米大統領の原爆慰霊碑前での広島の祈りから1年。昨年末には安倍晋三首相もハワイのアリゾナ記念館で平和を誓った。松尾文夫さんが提唱した日米首脳の献花外交は実現した。しかし、トランプの出現が、より困難な北朝鮮危機をもたらした。
松尾さんは、米中の「相互確証破壊」で結ばれた関係は日米よりも深い、と指摘する。一方で、中国との和解に踏み出したドゥテルテは、日韓併合とフィリピン領有承認を取引した日米の古傷をちらつかせる。「東アジア情勢は和解へ向け、大きな展開を描く時代に入っている」
チューリップテレビは富山県最後発のテレビ局。社員70人、報道制作局はアナウンス部門も含めて20人余り。小さなローカル局にとって「特別な出来事だった」と宮城克文デスク(写真)は振り返った。
取材の発端は昨年4月。富山市議会の議員報酬引き上げが、たった2回の非公開審議会で決まった。この動きに疑問が生じた。「会社や家族に迷惑が…」。閉鎖的な地域社会の中で、情報公開請求すらためらわれたが、請求を市側が情報漏えい。このエラーが協力者の出現、他社の後追い報道につながり、辞職ドミノを生んだ。
広島平和記念公園でのオバマ大統領との抱擁シーンが世界中に流れ、「時の人」になった森重昭さん。原爆で死亡した米兵捕虜の存在を、会社勤めの傍ら40年以上調査。被爆死した12人の米兵の身元を特定し、遺族とも交流。日米市民レベルの戦後和解に貢献した。
8歳の時に橋の上で被爆。その瞬間、川の中に吹っ飛ばされた。水かさはすぐに1メートル上がった。黒い雨が降った。その雨は「痛かった」と言う。学校で無数の遺体処理を目撃した。「平和が一番」。シンプルだが、伝わる言葉で締めくくった。
ゲスト / Guest
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松尾文夫
ジャーナリスト
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宮城克文
チューリップテレビ政務活動費取材チーム
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森重昭
歴史研究家